左派系ジャーナリストでユーチューバーの金於俊(キム・オジュン)氏が韓国国会に参考人として出席し、「『非常戒厳宣布時、与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表を射殺する計画があった』という情報提供を受けた」と述べた。同氏はまた、「米軍兵士数人を射殺し、米国が北朝鮮を爆撃するよう誘導するという内容、生物・化学テロに関する情報提供も受けた」とも語った。その上で、「(情報の)出どころを一部明らかにすると、韓国国内に大使館がある友好国だ」と言った。金於俊氏はこのような衝撃的な発言をした後、国会議員たちの質問も受けずに会議場を出てしまった。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領側が韓東勲代表や米軍兵士を射殺しようとしたという話は、非常戒厳宣布問題とは次元が違う深刻な問題だ。たとえ金於俊氏がある人物からこのような話を聞いたとしても、それを公にする際には最低限の確認作業を経なければならない。国会に出てきて、その内容に言及するなら、もっと慎重であるべきだ。ところが、金於俊氏は自ら「あまりにも荒唐無稽な、小説のような話」「事実関係の全てを確認したわけではない」と言った。荒唐無稽で小説のような話を事実確認もせずに国会で発言したということだ。 政治の状況が混乱しているとしても、越えてはならない一線だ。
金於俊氏が自ら荒唐無稽で小説のようだと言ったこの主張に対して、最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「十分にそのような計画をした可能性のある集団だ」と言った。信ぴょう性があると考えているという意味だ。誰かが誰かを銃で殺すという計画について、ある人物が「荒唐無稽で小説のようだ」と言いながらも国会にこれを持ち出すや、国会を掌握している政党の代表が「あり得ることだ」と相づちを打ったのだ。
デマや都市伝説かと思われた非常戒厳宣布が実際に起きたのだから、荒唐無稽で小説のようなことも実際に起こり得ると考える風潮があるのも事実だ。しかし、「韓東勲代表射殺」「米軍兵士射殺」「生物・化学テロ」は非常戒厳よりも深刻な問題になる可能性がある。金於俊氏はこの情報提供を友好国の大使館から受けたという。そうならば、その友好国がどこなのか明らかにすることはできないのか。これは確認しないまま放置することが済まされない問題ではないだろうか。