尊敬する国民の皆さま、私は今日、非常戒厳に関する立場を明らかにするためにこの場に立ちました。
今、野党は非常戒厳宣布が内乱罪に当たるとして、狂乱の剣の舞を踊っています。
本当にそうですか?
果たして今、大韓民国で国政のまひと国憲の紊乱(びんらん)を繰り広げている勢力は誰ですか?
この2年半の間、巨大野党は、国民が選んだ大統領を認めずに引きずり下ろすため、退陣と弾劾の扇動をやめませんでした。
大統領選挙の結果を承服しなかったのです。
大統領選挙後から現在まで、およそ178回に及ぶ大統領退陣、弾劾集会が任期の初めから開かれました。
大統領の国政運営をまひさせるため、韓国政府(尹錫悦〈ユン・ソンニョル〉政権)発足後からこれまで数十人の政府公職者の弾劾を推進してきました。
弾劾された公職者たちは何の過ちもなくても訴追から判決宣告時まで長期間職務が停止します。
弾劾が発議され訴追が行われる前、多くの公職者が自ら辞退したりもしました。
弾劾の乱発で国政をまひさせてきたのです。
長官、放通委員長などをはじめ、自分たち(野党側)の不正を調査した監査院長と検事たちを弾劾し、判事たちを脅迫する状況に至りました。
自分たちの不正を隠すための防弾弾劾であり、公職綱紀と法秩序を完全に崩すことです。
それだけでなく、違憲的な特別検察法案を27回も発議し、政治扇動攻勢をかけてきました。
ついには犯罪者が自ら自分に免罪符を与えるセルフ防弾立法まで強引に進めています。
巨大野党が支配する国会が自由民主主義の基盤ではなく、自由民主主義の憲政秩序を破壊する怪物になったのです。
これが国政まひであり、国家危機の状況でなければ何だというのですか?
これだけではありません。
今、巨大野党は国家安保と社会安全まで脅かしています。
例えば、今年6月に中国人3人がドローンを飛ばして釜山に停泊中だった米空母を撮影して摘発された事件がありました。
彼らのスマートフォンやノートパソコンからは、少なくとも2年以上韓国の軍事施設を撮影した写真が見つかりました。
先月には40代の中国人がドローンで国家情報院(韓国の情報機関。以下国情院)の撮影中に逮捕されました。
この者は中国から入国するやいなやすぐに国情院に行き、このようなことを行ったことが確認されました。
しかし、現行の法律では外国人のスパイ行為をスパイ罪で処罰する方法はありません。こうした状況を防ぐために刑法のスパイ罪条項を修正しようとしましたが、巨大野党が頑強に立ちはだかっています。
(文在寅〈ムン・ジェイン〉)前政権当時、国情院の対共捜査権を剥奪しただけでなく、国家保安法の廃止も試みています。
国家安保を脅かすスパイを捕まえるなということではないですか?
北朝鮮の違法な核武装やミサイル脅威の挑発にも、GPS(衛星利用測位システム)かく乱や汚物風船にも、民主労総スパイ事件にも、巨大野党はこれに同調するだけでなく、むしろ北朝鮮の肩を持ち、これに対応するために孤軍奮闘する政府を傷つけてばかりいました。北朝鮮の不法核開発に伴う国連の北朝鮮に対する制裁もまず解除すべきだと主張します。
いったいどこの国の政党で、どこの国の国会なのか分かりません。
検察と警察の来年度の特別業務経費、特殊活動費の予算は完全に0ウォンへと削減されました。
金融詐欺事件、社会的弱者対象犯罪、麻薬捜査などの民生侵害事件捜査、そして対共捜査に使われる緊要な予算です。
薬物、ディープフェイク犯罪対応予算までも大幅に削減しました。
自分たちに向けられた捜査妨害を超え、薬物捜査、組織暴力団捜査のような民生事犯捜査まで遮るものです。 大韓民国をスパイ天国、麻薬巣窟、組織暴力団の国にするということではないですか?
このような人々こそ国を滅ぼそうとする反国家勢力ではありませんか?
それなのに、自分たちの特権を維持するための国会予算はむしろ増やしました。
経済も危機的で緊急を要する状況です。
巨大野党は大韓民国の成長エンジンまで取り払おうとしています。
共に民主党が削減した来年の予算内訳を見ればよく分かります。
原発生態系支援予算(原発関連予算)を削減し、チェコ原発輸出支援予算はなんと90%も削減してしまいました。
次世代の原発開発関連予算はほぼ全額を削減しました。
基礎科学研究、量子、半導体、バイオなど未来成長動力予算も大幅に削減しました。
東海ガス田のボーリング予算、いわゆる「大王鯨(シロナガスクジラ)」事業の予算も事実上全額削減しました。
青年雇用支援事業、脆弱(ぜいじゃく)階層児童の資産形成支援事業、子供たちの世話手当てまで手を出しました。
産業生態系造成のための革新成長ファンド、強小企業育成予算も削減しました。
災害対策予備費はなんと1兆ウォン(約1100億円)を削減し、パンデミック(世界的大流行)に備えるためのワクチン開発と関連R&D(研究開発)予算も削りました。
このように今、大韓民国は巨大野党の議会独裁と暴挙で国政がまひし、社会秩序がかく乱され、行政と司法の正常な遂行が不可能な状況です。
国民の皆さま、ここまでは国民の皆さまもご存じだと思います。
しかし、私が非常戒厳という厳重な決断を下すまで、これまで直接明らかにできなかったさらに深刻なことがたくさんあります。
昨年の下半期に選挙管理委員会をはじめとする憲法機関や政府機関に対して、北朝鮮によるハッキング攻撃がありました。国情院がこれを発見し、情報流出と電算システムの安全性を点検しようとしました。
他の全ての機関は、自分たちの参観の下で国情院が点検することに同意し、システム点検が行われました。
しかし、選挙管理委員会は憲法機関であることを理由に、頑強に拒否しました。
そうするうちに選管の大規模採用不正事件が起こり、監査と捜査を受けることになると、国情院の点検を受け入れて一歩引き下がりました。
しかし、システム機器全体のほんの一部のみの点検に応じ、残りは応じなかったのです。システム機器の一部だけを点検しましたが、状況は深刻でした。
国情院の職員がハッカーとしてハッキングを試みると、いくらでもデータ操作が可能で、ファイアウオールも事実上ないも同然でした。
パスワードも非常に単純で、「12345」といったやり方でした。
システムセキュリティー管理会社も、非常に小規模で著しく専門性に欠ける会社でした。
私は当時、大統領として国情院の報告を受け、ショックを受けました。
民主主義の核心である選挙を管理する電算システムがこんなにでたらめなのに、どうして国民が選挙結果を信頼できますか? 選管も国情院の保安点検過程に立ち会って見守ったが、自分たちが直接データ操作したことはない、という言い訳を繰り返すだけでした。
選管は憲法機関で、司法部(省に相当、以下同じ)の関係者が委員を務めているため、令状による家宅捜索や強制捜査は事実上不可能です。
自ら協力しなければ真相究明が不可能です。
24年4月の総選挙前にも問題のある部分についての改善を求めましたが、きちんと改善されたかどうかは分かりません。
それで私は今回、国防長官に選管の電算システムを点検するよう指示したのです。
最近、巨大野党・共に民主党が自分たちの不正を捜査し監査するソウル中央地検長と検事たち、憲法機関である監査院長を弾劾すると言った時、私はもうこれ以上はただ見守ることはできないと判断しました。
何かしなければならないと思いました。
彼らは近く司法府にも弾劾の刀を突き付けることが明らかでした。
私は非常戒厳令発動を考えるようになりました。
巨大野党が憲法上の権限を乱用し、違憲的措置を繰り返しましたが、私は憲法の枠内で大統領の権限を行使することにしました。現在の亡国的な国政まひの状況を社会かく乱による行政・司法の国家機能の崩壊状態と判断し、戒厳令を発動するものの、その目的は国民に巨大野党の反国家的な弊害を知らせて、これをやめるよう警告することでした。
そうすることで、自由民主主義の憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化しようとしたのです。
実際12月4日の戒厳解除以後、共に民主党が監査院長とソウル中央地検長などに対する弾劾案を保留するとしたことで、短時間の戒厳を通じたメッセージがある程度効果があったと考えました。しかし2日後に、保留すると言っていた弾劾訴追をそのまましてしまいました。
非常戒厳の名分をなくすという意味でした。
そもそも私は国防長官に、過去の戒厳とは異なり戒厳の形式を借りて昨今の危機状況を国民に知らせ訴える非常措置を取ると言いました。
そのため、秩序維持に必要な少数の兵力だけを投入し、実武装は行わず、国会の戒厳解除の議決があればすぐに兵力を撤収させるとしました。
実際に国会の戒厳解除の議決があると、国防部庁舎にいた国防長官を私の事務室に来させ、即時兵力撤収を指示しました。
私が大統領として発令した今回の非常措置は、大韓民国の憲政秩序と国憲を壊そうとするものではなく、国民に亡国の危機状況を知らせ、憲政秩序と国憲を守り、回復するためのものです。
小規模ながら兵力を国会に投入した理由も巨大野党の亡国的行動を象徴的に知らせ、戒厳宣言放送を見た国会関係者と市民が大挙集まることに備えて秩序維持をするためであり、国会を解散させたり、機能をまひさせようとしたりするものではないことは自明です。
300人未満の実武装していない兵力で、あの広々とした国会の空間を相当な期間掌握することはできません。
過去のような戒厳をするためには数万人の兵力が必要であり、広範囲な事前議論と準備が必要ですが、私は国防長官に戒厳令発令談話放送で国民に知らせた後に兵力を移動させるよう指示しました。
それで午後10時30分に談話放送を行い、兵力投入も11時30分から12時過ぎに行われ、1時過ぎに国会の戒厳解除決議があると直ちに軍撤収を指示しました。
結局、兵力が投入された時間は1、2時間程度に過ぎません。
もし国会機能をまひさせようとしたなら、平日ではなく週末を期して戒厳を発動したはずです。
まず国会の建物に対する断電、断水措置を取ったはずですし、放送の送出も制限したはずです。
しかし、いずれも行いませんでした。
国会で正常に審議が行われ、放送を通じて全国民が国会の状況を見守りました。
自由民主憲政秩序を回復し、守護するために、国民に亡国的状況を訴えるやむを得ない非常措置を取りましたが、死傷者が発生しないように安全事故防止に万全を期するようにし、士兵(一般兵)ではなく副士官以上の精鋭兵力だけを移動させるようにしたのです。
私は今回の非常戒厳を準備しながらもっぱら国防長官とだけ議論し、大統領室と内閣の一部人物に宣布直前の国務会議(閣議)で知らせました。
各自の担当業務の観点から懸念される反対意見の開陳も多かったです。
私は国政全般を見る大統領の立場から、現状況でこのような措置が避けられないと説明しました。軍関係者はいずれも大統領の非常戒厳発表後に兵力移動の指示に従ったものですので、彼らには全く過ちはありません。
そしてはっきり申し上げますが、私は国会関係者の国会出入りを止めないようにし、それで国会議員と途方もなく多くの人波が国会の庭と本館、本会議場に入り、戒厳解除案件の審議も進行されたのです。
それなのになんとしてでも内乱罪に仕立て上げ、大統領を引きずり下ろすために数々の虚偽扇動を生み出しています。
一体2時間の内乱というものがありますか?
秩序維持のために少数の兵力を一時投入したのが暴動だということですか?
巨大野党が偽りの扇動で弾劾を急ぐ理由は何でしょうか?
ただ一つです。
巨大野党代表の有罪判決が迫るや、大統領の弾劾を通じてこれを回避し、早期に大統領選挙を行うということです。
国家システムを崩してでも、自分の犯罪を覆い、国政を掌握しようとするのです。
これこそ国憲を紊乱する行為ではありませんか?
私を弾劾しようが、捜査しようが、私はこれに堂々と立ち向かいます。私は今回の戒厳宣言と関連して法的、政治的責任問題を回避しないとすでに申し上げております。
私は大統領就任以来、これまでたった一瞬も個人的な人気や大統領の任期、地位の保全にこだわってきたことがありません。
地位の保全だけ考えれば、国憲紊乱勢力とあえて戦うこともなく、今回のように非常戒厳を宣布することもなかったはずです。
5年任期の座を守ることだけに没頭し、国家と国民に背を向けることはできませんでした。
私を選んでくださった国民の意思を裏切ることはできませんでした。毎日のように多数の力で立法の暴挙に明け暮れ、ひたすら防弾にのみ血眼になっている巨大野党の議会独裁に対抗し、大韓民国の自由民主主義と憲政秩序を守ろうとしたのです。
その道しかないと判断して下した大統領の憲法的決断であり、統治行為がどうして内乱になり得ますか?
大統領の非常戒厳宣言権の行使は赦免権の行使、外交権の行使といった司法審査の対象にならない統治行為です。
国民の皆さん、今野党は私を重犯罪者に追い込み、すぐに大統領職から引きずり下ろそうとしています。
もし、亡国的な国憲紊乱勢力がこの国を支配したら、どんなことが起こるでしょうか?
違憲的な法律、セルフ免罪符法律、経済暴亡法律が国会を無差別に通過し、この国を完全に壊すでしょう。
原発産業、半導体産業をはじめとする未来成長動力は枯死し、中国製太陽光施設が全国の森林を破壊するでしょう。
韓国の安保と経済の基盤である韓米同盟、韓米日協力は再び崩れるでしょう。
北朝鮮は核やミサイルを高度化し、韓国の暮らしをさらに深刻に脅かすでしょう。
それではこの国、大韓民国の未来はどうなるでしょうか?
スパイが横行し、麻薬が未来の世代を壊し、暴力団がのさばる、そんな国になるのではないでしょうか?
これまで国政まひと国憲紊乱を主導した勢力と犯罪者集団が国政を掌握し、大韓民国の未来を脅かすことだけは、どんなことがあっても防がなければなりません。私は最後まで戦うつもりです。
国民の皆さま、国政まひの亡国的非常事態から国を守るため、国政を正常化するため、大統領の法的権限で行使した非常戒厳措置は、大統領の高度な政治的判断であり、ただ国会の解除要求だけで統制できるものです。
これが司法府の判例と憲法学界の多数意見であることを多くの方が知っています。
私は国会の解除要求を直ちに受け入れました。
戒厳発令要件に関して異なる考え方をお持ちの方もいらっしゃいますが、国を救おうとする非常措置を国を滅ぼそうとする内乱行為と見ることは、多くの憲法学者と法律家が指摘するように、私たちの憲法と法体系を深刻な危険に陥れることです。
私は聞きたいです。
今、あちこちで狂乱の剣の舞を踊る人々は、国がこの状態になるまで、一体どこで何をしていたのでしょうか? 大韓民国の状況が危険で、危機にひんしているという考えも全くしなかったということですか?
公職者たちにお願いします。
厳重な安保状況とグローバル経済危機で国民の安全と民生を守ることに揺らぐことなくまい進してください。
国民の皆さま、この2年半、私はひたすら国民だけを見つめ、自由民主主義を守り再建するために、不義と不正、民主主義を装った暴挙に立ち向かって戦いました。
血と汗で守ってきた大韓民国、私たちの自由民主主義を守る道に、皆が一つになってくださることを切にお願いします。
私は最後の瞬間まで国民の皆さんと一緒に戦います。
短い時間ですが、今回の戒厳令で驚き、不安を感じた国民の皆さまにもう一度おわび申し上げます。
国民の皆さまに対する私の熱い真心だけは信じてください。
ありがとうございます。
キム・ギョンピル記者