7日に国会本会議場で採決予定だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案は出席した議員数が足りず採決に至らなかった。大統領による非常戒厳令宣布を理由に今回弾劾に持ち込もうとした野党・共に民主党は「弾劾案が国会で成立するまで毎週土曜日に弾劾案を無限提出し採決を続ける」との方針を明確にしている。
【写真】大統領弾劾訴追案の投票後に記者会見に臨む韓国与党「国民の力」金相旭議員の姿に涙する共に民主・姜仙祐(カン・ソンウ)議員
現職大統領に対する弾劾案が国会で採決されるのは2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、16年の朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領に続き今回が3回目だ。採決に当たっては与党・国民の力が否決を党の方針としたため、採決には国会議員300人のうち共に民主党などの野党議員192人と国民の力の安哲秀(アン・チョルス)議員、金睿智(キム・イェジ)議員、金相旭(キム・サンウク)議員の合計195人しか参加しなかった。これでは採決に必要な定足数(200人)に至らず、採決は不成立で開票も行われなかったため弾劾案は自動破棄された。弾劾案の成立には国会議員の3分の2となる200人以上の賛成が必要だ。大統領再議要求権(拒否権)の行使によりこの日国会で再び採決が行われた金建希(キム・ゴンヒ)夫人特別検事法案も否決され破棄された。
弾劾案が採決に至らなかったことを受け、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「内乱行為、軍事反乱行為の責任を追及し、大韓民国最悪のリスクとなっている尹錫悦氏を必ず弾劾する」「年末年始までにはこの国を必ず正常に戻す」との考えを示した。同党のノ・ジョンミン院内スポークスマンは「大統領弾劾訴追案は11日に改めて提出され、14日に採決される可能性が非常に高い」「国民の力は一瞬一瞬が地獄になるだろう」と述べた。
これに対して国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は8日、記者団の取材に「早期の退陣は国民と大韓民国のための最善策」としながらも「弾劾の場合は(国会で)可決しても憲法裁判所でどのような決定が出るか非常に不確実な期間が続く。その過程で陣営間の激しい混乱も予想される」と指摘した。その上で韓東勲代表は「(これとは違い)時期を定めた早期退陣とその前段階での職務からの排除は予測可能性が確保できる」と説明した。
キム・アジン記者