今回の役員人事を機にサムスンの半導体を離れる役員は、50代と60代がほとんどだという。退職後、新たなキャリアを模索する可能性が高いということだ。これまでも中華圏の半導体企業に転職するサムスン電子、SKハイニックス出身のエンジニアが徐々に増えていたが、技術流出のリスクが高まる中、サムスンの半導体部門で長い間ノウハウを培ってきた専門人材が大量に転職市場に出ていくことに対し、懸念が高まるばかりだ。
業界ではすでにサムスン電子、SKハイニックス出身の元役員らがメモリー技術を中国企業に流出させることに対する警戒心が高まっている。先月25日には、サムスン電子とSKハイニックスで役員を務めた人物(66)が、サムスンが独自に開発した20ナノDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の核心工程技術を中国に流出させた容疑で逮捕・送検されていたことが分かった。韓国警察は、流出した技術の経済的価値は4兆3000億ウォン(約4600億円)以上とみている。
サムスンの事情に精通する業界関係者は「かつてブローカーを通じて少数の大物とだけ水面下で接触していた中国の各企業は、今や堂々と年俸の3-4倍を提示してサムスン電子とSKハイニックス出身のエンジニアを吸い寄せている」として「以前は非常にレアなケースだったかもしれないが、現在は国籍を別の国に偽装した中国系資本の半導体企業への移籍も活発に行われている」と説明した。
韓国半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は「サムスン電子やSKハイニックスで長い間勤務していた専門人材を海外企業や中国に行かせず韓国国内につなぎとめておくために、政府や協会レベルでも最大限の努力をしている」として「特許庁の審査官や、産学協力に関連する教育分野などの行き先に行けるよう誘導しているが、高い年俸に引かれてスカウトされるエンジニアを引き留める手立てはない」と話した。
ファン・ミンギュ記者