共に民主党が崔載海院長弾劾案を可決すれば、憲法裁判所の決定が下されるまで崔載海院長の権限は停止となる。そうなった場合、院長の権限は監査委員6人のうち最も長く在籍している趙垠奭委員に引き継がれる。趙垠奭委員は来年1月17日に任期満了で退任予定のため、その後は次に長く在籍しているキム・インヒ委員が権限代行となる。趙垠奭委員は文在寅前政権でソウル高等検察庁長を務め、キム・インヒ委員は文前大統領と共に「検察を考える」という書籍を出版した。二人はいずれも文前大統領が任命した人物のため、監査院長の権限を積極的に行使した場合は主要な監査でかなりの動きが出る可能性もささやかれている。
具体的には監査院による監査の遅延、あるいは監査処分の決定などに影響が出るとの見方が浮上している。監査院による監査政策、監査計画、処分などを決定する監査委員会は崔載海院長を含む7人の監査委員で構成され、委員の過半数の賛成で議決される。監査委員は現在文前大統領が任命した4人(趙垠奭、キム・インヒ、イ・ミヒョン、李南九〈イ・ナムグ〉)と尹大統領が任命した2人(キム・ヨンシン、兪炳浩〈ユ·ビョンホ〉)だ。うちイ・ミヒョン委員と李南九委員は尹大統領が大統領に当選した直後、文前大統領との協議を経て任命されたため、監査委員会議は事実上3対3の構図で運営されてきたが、キャスティングボートは崔載海院長が行使していた。ところが崔載海院長の権限が停止となれば、残り6人のうち4人が賛成しなければ議決されないため、主要な意思決定ができなくなるなど、監査院の機能がまひする恐れが出てくる。
監査院は同日声明を出し「崔載海院長就任後に国会統計捏造、西海公務員殺害事件など国家紊乱(びんらん)事件を徹底して監査するなど、国家秩序の根本を正すため厳正に対処してきた」「憲法と法律に反する弾劾推進は国の会計秩序や公職秩序維持機能をまひさせる行為だ」と批判した。監査院はさらに「監査院の独立性と政治的中立性を毀損(きそん)する今回のような試みは憲法の精神に反する不当な圧力だ」「監査院長が弾劾(訴追)された場合、憲法に定められた監査院の機能がまひするが、これは国民が被害を受ける形に帰結するだろう」とも訴えた。
チュ・ヒヨン記者、キム・ギョンピル記者