贈収賄や総選挙での世論捏造(ねつぞう)などの容疑で韓国野党・共に民主党の申栄大(シン・ヨンデ)議員の逮捕同意案が28日に国会に提出されたが否決された。これは今の第22代国会で最初の逮捕同意案採決だった。申議員は太陽光発電事業に関する請願を受ける際に事業者から1億ウォン(約1100万円)相当の賄賂を受け取り、総選挙では地元選挙区での予備選挙でスマートフォンを使い世論捏造に関与した疑いがある。逮捕同意案が可決されるには国会議員の過半数出席とその過半数の賛成が必要だが、今回の採決では出席295人中賛成93人、反対197人、棄権5人で逮捕同意案は否決された。
申議員は自らの逮捕状請求について「不当な政治弾圧」「金建希(キム・ゴンヒ)特別検事法を可決させることが国民の常識に見合った決定であり、金建希ゲート、ミョン・テギュン・ゲートを隠すための野党殺しだ」と主張した。逮捕同意案について争うのではなく、与野党を分けて陣営論理に訴えた方が有利と判断したようだ。今月初めに検察が申議員の逮捕状を請求した際、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「政治弾圧の可能性も検討せよ」と指示し、同党のある最高委員は「金建希特別検事法採決を控え、野党議員の数を減らすためではないか」との疑惑まで主張した。
前回の第21代国会でも共に民主党は李在明代表に対する1回目の逮捕同意案をはじめ、贈収賄や党大会での現金バラマキ事件の関係者など合計4人の逮捕同意案を否決した。「不逮捕特権の制限を公約としておきながら、李在明代表を守るため不逮捕特権を悪用した」との批判に対して共に民主党は「正当な令状の請求に対してのみ不逮捕特権を放棄する」とばつの悪い決議まで行った。その一方で共に民主党は与党・国民の力所属の議員に対する逮捕同意案は可決した。多数党の力で他党に対しては知らん顔、ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)式で不逮捕特権を乱用しているのだ。国民の力は総選挙の際に出馬した党員全員に不逮捕特権を放棄する念書を提出させたが、今回一部議員が逮捕同意案に反対票を投じたようだ。
過去にも国会で逮捕同意案が否決される事例はあったが、そのたびに与野党執行部は頭を下げて自省する態度を示した。ところが今回共に民主党は「政権の無道な態度に抵抗する野党連帯の力を確認した」として逆に検察を非難した。立法府全体が防弾国会となった今、国会は贈収賄や世論捏造容疑がかけられた議員の逮捕同意案を否決しておきながら、その一方で尊大な態度を取り続けているのだ。