世界最大のEV市場であり、新車販売に占める割合が既に半数を超えた中国では、EVの「スマート化」レベルが日々向上している。家電製品で有名だった小米(シャオミ)は今年3月、初のEVを発売したが、今月15日の広州モーターショーで「高度自動運転(HAD)」と呼ばれる最先端の自動運転機能を初めて披露した。1台約4000万ウォン(約440万円)のモデル「SU7」に搭載された同機能は、運転が難しい駐車場でも時速約20キロで動きながら、人間が運転するのと同様に自然にカーブを曲がり、スムーズに減速した。中国のインフルエンサーの間では、既に「ベテラン運転手のようだ」と評判になっている。
比亜迪など中国のEVメーカー9社は今年6月、中国で自動運転レベル3・4の路上実験の認可を受けている。レベル4は人間の介入がほとんど必要ない段階だ。米同業大手テスラは現在、それより劣るレベル2・3の自動運転を実用化している。中国の検索エンジン大手、百度(バイドゥ)はグーグルに続き世界で2番目に無人タクシーを運営している。今年6月から武漢市全域で補助運転者のいない無人タクシーを約500台運行しているが、年末までに1000台に増やす方針だ。ソウルでは光化門から瑞草区までの距離に相当する15キロを移動してもタクシー料金はわずか約2.5元(約50円)だ。
2000年代初め、クレジットカードを飛び越し、モバイル決済を直接導入した中国の金融サービスもさらに進化している。今年9月、深圳市のあるコンビニエンスストアで菓子を購入する際、レジで端末の上5センチの高さに手のひらをかざすとわずかな温もりを感じて「決済完了」という音声が聞こえた。騰訊が開発したシステムで、指紋や静脈パターンなどを認識して決済を行う。生体情報を使うために抵抗感があるかもしれないが、既に中国では至る所で顔認識機能が使われているためか、気になるという評価はほとんど聞かれなかった。
一時「技術後進国」とされていた中国が巨大な技術実験室になるに至ったのは、国家の全面的な産業補助金支援、企業による実用化の障壁を低くする規制緩和、個人情報の流出をあまり気にしない中国人の文化などが複合的に作用した結果だとされる。中国が2010年に第12次5カ年計画(2011~15年)を発表後、一貫して戦略産業として支援しているIT、ロボット、EV、航空宇宙などの分野では、他国では珍しい新商品とサービスが市場にあふれている。地方政府同士の技術・産業誘致競争も官民連携の相乗効果を高めたと分析されている。既に全世界の産業用ロボットの半分以上が中国に設置されており、ドローン(小型無人機)市場は90%以上を中国が掌握している。
一方、こうした急速な技術開発と導入の裏には政府による民間企業への行き過ぎた経営介入と個人情報侵害など副作用があるとも指摘されている。中国の長期経済成長戦略に従い、個別の技術をリードする「チャンピオン企業」を定め、その企業が国家のために奉仕する過程で過剰生産と市場の混乱が起きることも少なくない。また、そうした先端技術が国民に対する監視・統制を強化する道具として使われかねないと懸念する声が中国の内外から上がっている。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員