固定翼無人機の利点は明らかだが、長い滑走路を必要とするのが運用上の制限だった。よく知られている「グレイ・イーグル」「リーパー」といった無人機は、離陸のために1000メートル以上の滑走路が必要だった。米海軍の原子力空母でも飛行甲板の滑走路は300メートルの水準なので、運用が難しい。韓国海軍は、こうした固定翼無人機を韓国軍の艦艇で運用できるかどうかテストしてみて、今後海軍の輸送艦を建造する際には無人機の運用可能性を検討するため、今回の実験を実施した。
韓国海軍の関係者は「運用可能な兵力はもちろん兵力資源自体が減少しており、監視偵察および打撃任務を艦上固定翼無人機を通して行えば、作戦範囲および時間が大幅に増える」と語った。この日、試作機に武装は搭載されなかったが、今後武装の搭載が行われれば海上から北朝鮮の重要施設を打撃する能力も確保できるだろう-と期待されている。
ヘリを最大21機まで搭載して5機を飛行甲板で同時運用できると誇っていた独島が、固定翼無人機のテストベッドとして活用されたことの意味も大きい、と評されている。ロシア・ウクライナ戦争を通して「ヘリ無用論」が台頭し、無人機が現代戦の核心に位置付けられているが、こうした変化を反映しようとする動きを韓国海軍が見せているのだ。
ただし韓国海軍は、今回の戦闘実験はモハーベ配備のためのものではなく、モハーベを含むさまざまな無人機の配備を検討中だと説明した。
この日のテストに参加した無人機MQ1C「モハーベ」は、米ジェネラル・アトミクスと韓国の防衛関連企業が共同開発している。ジェネラル・アトミクスは「グレイ・イーグル」「リーパー」などを開発・生産した主要無人機メーカーだ。「モハーベ」は、グレイ・イーグルの胴体をベースにしているが、離陸距離を大幅に縮めたことが特徴。グレイ・イーグルの離陸滑走距離は搭載重量によって850メートルから1200メートルという水準だったが、この日の実験では、非武装状態の「モハーベ」試作機は90メートルの滑走で発艦した。本紙の取材を総合すると、モハーベは今後、最大16発のヘルファイア・ミサイルを搭載することができ、場合によっては統合直接攻撃弾(JDAM)搭載も考慮しているといわれる。全長は9メートル、翼幅は16メートルだ。試作機の滞空時間は3時間30分程度だが、最終的には25時間まで滞空時間を伸ばすことを目標にしている。
梁竜模(ヤン・ヨンモ)海軍参謀総長はこの日、「戦闘実験を通して無人戦力の効用を検証し、未来戦場環境の変化や兵力減少等に備えて多様な無人戦力を早期に導入・運用し、国民の皆さんが穏やかに休めるようにしたい」と語った。
浦項=ヤン・ジヘ記者