第1次トランプ政権は一方的な米国優先主義政策と突発的な行動による衝撃の連続だった。トランプ氏は第1次政権で中国との貿易戦争を宣言し、周辺国には常に経済的圧力を加え、また同盟国に対しても機会があるたびに安全保障に対する見返りを求めた。近く成立する第2次政権も基本的にはこれと変わらないだろう。米国と経済・安全保障の両面で同盟を結んできた韓国としては再び不確実な状況に直面することになった。
【グラフィック】第2次トランプ政権 外交安全保障政策の方向性は?
現在韓国は貿易分野における米中対立と世界的なサプライチェーン再編の影響を受けており、最大の輸出相手国も中国から米国になった。このような状況で第2次トランプ政権が再び保護貿易に乗り出した場合、韓国経済にとって大きな負担になるだろう。昨年韓国の対米貿易黒字は445億ドル(約6兆8000億円)と過去最高を記録した。そのため欧州、日本、ベトナムほどではないだろうが、韓国もトランプ氏の標的になる可能性は十分に考えられる。
トランプ氏は「全ての輸入品に10-20%の基本関税、また中国製品に対しては最高で60%の関税をかける」と明言している。これにより今後米中の関税戦争が起こった場合、韓国が中国と米国に輸出している中間財の輸出も減少するだろう。対外経済政策研究院(KIEP)によると、米中の関税戦争が起これば韓国の輸出額は最大で448億ドル(約6兆9000億円)の減少が見込まれているが、これは韓国の輸出全体の7%に相当する額だ。輸出がこれほどの打撃を受ければ国内総生産(GDP)は0.4%も減少するという。
トランプ氏はまた米国国内に半導体、電気自動車(EV)、バッテリーなどの工場を建設する外国企業への補助金をストップするとしている。サムスン電子、SKハイニックス、LGエナジーソルーションなど半導体やバッテリー関連の企業は米国が補助金を約束したため米国に工場を建設したが、トランプ氏が補助金を止めれば詐欺にだまされるようなものだ。韓国企業が受け取る補助金は12兆ウォン(約1兆3000億円)を上回るという。トランプ氏は公約で「米国国外で生産された自動車には100%の関税をかける」と明言したが、これが実行された場合、韓国の自動車業界も大きな打撃を受けるだろう。韓国の自動車輸出で米国向けが占める割合は50%に達している。
今後はまず対米貿易構造の見直しが必要になるだろう。トランプ氏が石油やガスなどの産業分野を育成する考えを明確にしている以上、米国からの原油や天然ガス輸入を増やす方向で検討する必要が出てくるはずだ。一方でトランプ氏が国家戦略産業の対中輸出全面禁止を明言したことは韓国経済にプラスになるだろう。これにより半導体分野などで中国の追撃をかわす時間を稼ぐことができ、長期的には韓国の産業競争力と輸出を拡大するチャンスにもなるからだ。