米国、中国の資金源を断って先端産業投資にくさび

 これまで中国に向かって門戸を開いてきた米国が、中国先端産業の資金源まで断ち切り始めた。中国から米国に入ってくる資本、人材、商品に壁をつくり、米国から中国に最先端技術が流出することを阻んできた米国だが、「ループホール」(規制の抜け穴)と指摘されていた投資まで阻もうとしているのだ。中国で人工知能(AI)など最先端技術が成長する芽を摘む狙いとみられている。

 米バイデン政権は10月28日(現地時間)、半導体、AI、量子コンピューターについて、米国企業の対中投資制限規則を来年1月2日から実施すると発表した。米国の投資家がAIをはじめ、安全保障に脅威となるデリケートな最先端技術に関連する対中投資を行う際、米財務省に届け出を行うことが盛り込まれた。米大統領選を8日後に控え、対中圧力を強め、中道・浮動層からの得票を確保しようとしているとの分析も聞かれた。

 ローゼン財務次官補(投資安全保障担当)は「AI・量子・半導体分野は最先端の暗号解読コンピュータシステムや戦闘機など次世代の軍事・監視および情報分野、サイバーセキュリティープログラム開発の基本技術だ」とし、「今回の発表は(中国などが)米国の国家安全保障を脅かす目的で重要技術の開発を推進する上で米国の投資が悪用されないようにする措置だ」と説明した。さらに、「投資だけでなく、経営支援、人材ネットワークなど有形・無形の投資が(中国など)懸念される国の軍事・情報・サイバー能力開発を助けることに使われてはならない」とくぎを刺した。

 規則の実施によって、来年から米国の企業・個人は中国でAI・量子・半導体など先端技術分野での株式取得、合弁投資、グリーンフィールド投資(新規施設建設投資)などができなくなる。米国企業がこうした最先端産業のために中国で土地を取得すること禁止される。規則に違反すれば、処罰を受けることになり、罰金も36万8136ドル(約5640万円)以上と高額だ。ワシントン・ポストは「米国のベンチャーキャピタルによる対中投資が2018年に144億ドルでピークに達した後、2022年に13億ドルまで急減した状況で投資規制措置が打ち出された」と伝えた。

 ただ、上場企業、一定規模以上のファンドに対する投資など一部の取引は例外が認められた。また、同盟国やパートナーと協議し、米国の国家安全保障を阻害しないと判断した場合も除外される。ホワイトハウスは「昨年8月の大統領令発表以後、全世界の利害関係者の広範囲な参加を主導してきた」とし、今後韓日など同盟国に対する参加要求が高まると観測されている。

 米国の対中圧力は最後のパズルとされた資本移動制限まで踏み込んだ格好だ。バイデン大統領は昨年8月、大統領令を通じ、中国と香港・マカオを「懸念国家」と位置づけ、財務省に対中投資制限の詳細な規則をつくることを指示。同省は今年6月、そうした内容を盛り込んだ規則制定案を公開後、意見集約プロセスを踏んだ。

 米国はトランプ政権下の2018年、中国人留学生のビザ期限を短縮のに続き、翌年には中国の華為(ファーウェイ)に対する半導体輸出も制限した。バイデン政権になると、先端AI半導体や半導体設備の輸出規制などの技術輸出を阻止したのに続き、今年に入ると、中国製電気自動車(EV)の関税を25%から100%に引き上げた。ワシントンの新アメリカ安全保障センター(CNAS)などによると、バイデン政権が発足後、半導体やAIなど先端分野で取った対中制裁措置は40件を超える。今回の大統領選で民主、共和どちらの候補が勝っても、こうした中国けん制路線は強まると予想されている。

 韓国対外経済政策研究院のハン・ヒョンミン経済安保チーム長は「軍事技術と密接に関係するAI・量子・半導体などを規制し、中国の先端技術の発展を防ぐ意図がある。ただ、さまざまな国家をう回すれば資本移動を把握するのは容易ではないことが不確定要素だ」と述べた。

 一方、中国外務省は10月29日、米国の規制措置に強く反発し、「合法的な権益を守るため、必要なあらゆる措置を取る」との立場を示した。

趙宰希(チョ・ジェヒ)記者、ワシントン=イ・ミンソク特派員

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