しかし、党内外でははばかることのない韓代表の行動を懸念する人も少なくない。特に尹大統領との会談翌日、親韓東勲系の約20人を呼び、これ見よがしに晩餐会を開き、与党・政府の対立激化を心配する党員と保守支持層の不安をかき立てた。大統領の親族と側近の不正行為を監察する特別監察官の任命方針もやはり党のツートップである秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表との事前協議なしで言いだし、親尹錫悦系と親韓東勲系の内紛だけを際立たせたと批判されている。与党が特別監察官を巡って内部対立を見せると、野党は「金建希特別検事だけが答えだ」として、すきを狙っている。
どんな意図であれ、任期の折り返し点を控えた大統領と全面的な権力闘争に乗り出すような行動は、政権の成功を後押しすべき与党代表として不適切だ。党内事情に詳しい国民の力の院外関係者は「韓代表に支持者が期待したのは、尹大統領と近い立場で民心をきちんと伝え、積極的に意思疎通を図る姿だったが、大統領室と戦ってばかりいてもどかしい」と胸の内を明かした。
国民の視線に合わせ、政府・与党が変わらなければならないという韓代表の状況認識に反対する人はほとんどいないだろう。しかし、大統領室と国民の要求の間に接点を見いだし、与党議員を説得して実質的な成果を出すのが党代表のリーダーシップであることを韓代表は忘れてはならない。政府・与党の対立が長引くほど、国民の疲労感は高まり、国政課題を議論する政府・与党の政策協議も円滑に行われない。政府・与党幹部による協議会は8月25日から2カ月間開かれていない。より洗練された方式で大統領室、党内と柔軟に意思疎通し、政府・与党の対立を解決すべきという国民の声にも韓代表は耳を傾けてほしい。
パク・スクヒョン記者