問題は公表されない世論調査の場合、加重値倍率に関する規定がないことだ。大統領選の予備選過程の2021年9月には、ジャーナリストのミョン・テギュン氏が世論調査会社である未来韓国研究所の職員カン・ヘギョン氏に対し、「若者の回答の係数を上げ、洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補より尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補の数字が出るようにすべきだ」と語ったことを巡って「マッサージ」疑惑が指摘された。それについて、ミョン氏は「カン氏がミスした部分を修正しようとしたものであって、私個人が参考しようと設定した調査だった」と反論した。
■標本クッキング
無作為に抽出される標本に特定の傾向を持つ集団を混入する方式は「標本クッキング」と呼ばれる。世論調査は通常、通信会社から携帯電話の仮想番号の提供を受けて実施する。ところが、そこに自主的に構築したデータベースを混ぜれば、調査結果が歪曲される可能性がある。既に政治的傾向が確認された集団を調査対象に加えれば、希望通りの結果を導くことができるのだ。
2022年に大邱市長選出馬予定者の世論調査を実施したある世論調査会社は、大邱市選挙世論調査委員会から提供された仮想番号2万5000個に独自に保有している電話番号1523件を混入させた疑いで摘発された。地方選挙出馬を予定していたA氏は標本クッキングの手口に関連し、「ある世論調査会社が『自社が保有するデータで世論調査結果を調整できる』と訪ねてきたことがある」とし、「世論調査を『調整できる』という話も初めて聞いたが、その代価として数億ウォンを要求してきた」と証言した。
■番号入手
世論調査実施期間に電話番号を大量に確保する手法だ。それによって、特定の政党·候補を支持する傾向が明確な集団が世論調査に接触する機会が増える。番号取得は世論調査会社ではなく、政党・候補サイドが行うことが多い。
最近では群山市障害者体育会の関係者が共に民主党の申栄大(シン・ヨンデ)議員の選挙運動を支援するため、、「世論調査回答用」として100件余りの携帯電話契約を結んだとして起訴されたのが代表例だ。2012年にはソウル市冠岳乙選挙区の野党候補一本化当時、統合進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)代表の側近が有線電話190回線を開通させ、携帯電話に転送させたとして起訴された。裁判所はそうした手口で他の選挙区に住む人など本来資格外の党員を動員し、世論調査に介入したと判断だ。
■虚偽回答を誘導
世論調査の対象者が虚偽の回答を行うよう誘導するケースも多い。世論調査の電話がかかってきた際、割り当て分に足りない性別、年齢、地域集団に属すると虚偽の回答をさせる手法だ。
民主党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員は昨年12月、支持者に「20代は電話に出ない。皆さんが20代になってほしい」と発言し物議を醸した。地方選の世論調査を控えた2022年4月、国民の力の金光ヨル(キム・グァンヨル)盈徳郡守の選対関係者は、メッセンジャーアプリのチャットルームで「特定世代の女性だと回答してほしい」と求めていたことが明らかになった。
キム・ヒョンウォン記者