その後、第1次ベビーブーム世代(1955~1963年生まれ)が60代となった2010年代半ばから60歳以上の人口と就業者数がそろって急増している。2000年に521万2000人だった60歳以上の人口は、2017年に1024万5000人となり、初めて1000万人の大台を超えた。今年は平均寿命が84.3歳に延び、合計特殊出生率が0.7人台に低下するほど少子高齢化が加速し、就業者数の年代別分布が初めて逆ピラミッド構造に変化した。
高齢者が子どもに負担をかけずに老後に責任を負いたいという認識を持ち、なおかつ80万ウォン台前半という毎月の平均年金受給額では老後に備えられないという不安感が次第に高まった結果だ。 韓国統計庁による今年5月の調査によると、55~79歳の人口1598万3000人のうち、国民年金や個人年金、住宅年金など年金を少額でも受給している人は半数をわずかに超える817万7000人(51.2%)にとどまった。年金を受け取る高齢層の平均受給額は月82万ウォン(約9万円)で、個人再生手続きを担当する回生裁判所が判断する一人暮らし世帯の最低生活費(133万7067ウォン)の61.3%にとどまる。韓国開発研究院(KDI)のキム・ジヨン研究委員は「年金の増加ペースが遅い半面、高齢者の貧困問題が深刻な点も韓国で高齢層就業者が増加する原因の一つだ」と話した。
■20代以下を上回った60代以上の雇用率
人口に占める就業者数の割合を意味する雇用率は60歳以上で今年9月に過去最高の47.4%を記録した。30代(80.4%)、40代(79.6%)、50代(77.6%)には及ばないが、新社会人の15~29歳(45.8%)に比べ高い。今年3月までは60歳以上の雇用率(45.5%)は15~29歳(46.2%)より低く、全年代で最低だったが、4月から6カ月連続で20代以下を上回った。
高齢の就業者が増え、定年を過ぎた高度熟練者の経験と専門性を生かす良質の働き口を増やすべきだとの指摘が出ている。漢城大経済学部のキム・サンボン教授は「高齢者雇用に投じる予算を継続雇用企業に対するインセンティブに集中すべきだ。年収3000万ウォン程度の進路相談教師など、引退した高齢者の資質を十分に活用できる働き口を増やさなければならない」と指摘した。
鄭錫愚(チョン・ソクウ)記者、権純完(クォン・スンワン)記者