ノーベル賞経済学賞受賞のシカゴ大教授が礼賛する朴正熙政権時代の輸出政策【コラム】

 今年のノーベル経済学賞共同受賞者の会見は、始まりから韓国の話一辺倒だった。マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授は「韓国経済は力強く成長した」とし、同大学のジョンソン教授は「貧しかった韓国が成し遂げた業績には驚かされる」と称賛した。シカゴ大学のジェームス・ロビンソン教授も現地インタビューを通じて「韓国は包容的社会への転換を成功的に成し遂げた」と述べた。全世界の記者たちの質問に受賞者3人が口裏を合わせたかのように「韓国の成功」を礼賛する姿は驚きでもあり、一方でなんだかしっくりこないものも感じた。

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 アセモグル教授とロビンソン教授を世界的な権威の隊列にのし上げ、ノーベル賞までもたらした著書『国家はなぜ衰退するのか』は、国家の運命を政治や社会制度が決めると説いた。その上で、民主主義を選んだ韓国と独裁国家「北朝鮮」の経済発展の違いを主な根拠としている。私有財産を認めて民主共和制を敷いた「包容的」制度国家の韓国が発展した一方で、権力と富が一人の独裁者に集中する「搾取的制度」を選択した北朝鮮は衰退したというのだ。

 この時点で解消されない疑問がある。著者たちは、韓国が1980年代に民主化を経験したおかげで、世界10位圏の経済大国へと発展することができたと口をそろえる。それ以前の朴正熙(パク・チョンヒ)政権は、ソ連や北朝鮮のような「搾取的制度」を選んだ時代として描いている。同書籍が出版された2012年以降、韓国の進歩陣営や学界が先をこぞって同書籍を引用したのは、このためだった。著者たちは、当時を「権威主義的成長」と規定しながらも、故・朴大統領の国家主導型の開発政策がもたらした経済発展そのものは否定しなかった。にもかかわらず、その時期の韓国が成し遂げた急激な成長を正確に説明できなかった。

 ノーベル賞が発表された日にようやく実現した共著者ロビンソン教授とのインタビューで、彼が先に故・朴正熙元大統領について話を切り出してきたのは意外だった。ロビンソン教授は「最近、朴大統領時代の輸出主導政策を集中的に研究している」という。ソウルの朴大統領記念館を直接訪問し、朴大統領の足跡をたどっているという。彼は数回にわたり「本当に成功的な政策」とし、当時の韓国の輸出政策が他の発展途上国にも有効なビジネスモデルとなり得ると説明した。

 故・朴大統領の「独裁」論議について質問すると、断固として回答した。「彼は独裁者でした。しかし、彼は『国家発展』に本当に執着し、執着しました。世界の歴史で指導者がこのように成功したケースは多くありません」。本を書いた後、彼の考えが変わったのかは分からない。ただ、韓国の経済発展の功労さえ否定し、故・朴大統領を過度に罵倒する韓国内部の状況を意識しているようにも見えた。

 ロビンソン教授は「韓国経済が途方もなく成長したのは朴大統領のおかげで、当時の爆発的発展を支えることができた力はその後の制度(民主化)だった」と説いた。彼にとって朴正熙大統領の「漢江の奇跡」とその後の金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)の「民主化」は別途にあるものではなかった。われわれ自らが過去を切り下げ、互いを批判している間に、遠い海外の学者たちが韓国の屈曲した歴史をより忠実に説明した。その説明に世界が注目している。これこそ、われわれがまずは行ってくるべきものだったのではないだろうか。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

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  • ▲1968年7月9日、京釜高速道路の吉舎トンネル工事区間を視察し、指示を出す朴正熙大統領。/朝鮮日報DB

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