2019年に「漢江河口共同利用水域海図」を北朝鮮に渡した文在寅(ムン・ジェイン)政権関係者のスパイ容疑に対して、警察は不送致処分とした。
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ソウル警察庁安保捜査隊は文在寅前大統領、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)元国防長官、金栄春(キム・ヨンチュン)元海洋水産長官らの与敵・スパイ・一般利敵・予備陰謀・準敵国容疑を11日に却下していたことが21日に確認された。
文在寅政権時代、2018年9月19日の南北軍事分野合意(9・19軍事合意)に基づき、韓国海洋水産部(省に相当)と国防部はソウル・漢江河口の地形が含まれる海図を製作し、2019年1月30日に板門店で北朝鮮に渡した。
海図には紙の図面と満ち潮・引き潮の観測資料のほか、岩礁の位置・海岸線・水深・海底地形などのセンシティブ情報(機微情報)も含まれていたという。
その後、関係機関の意見を取りまとめ、海洋水産部傘下の国立海洋調査院が「漢江河口共同利用水域水路図保安等級分類(案)審議」を行い、漢江河口海図(水路図)は2020年9月に、その他の結果物は2020年6月に第3級機密に分類された。
ク・ジュワ弁護士は今年4月25日、「海図は第3級機密に指定されて国家機密になった。北朝鮮に有利な資料なので、刑法上のスパイ罪に該当する」として、文前大統領らを大検察庁(最高検察庁)に告発した。同件は後に警察が引き継いだ。
捜査の結果、警察は「北朝鮮の一方的な利益のためや、韓国の軍事上の利益を害する目的が文前大統領らにあったとは見なしがたい」と判断したという。
つまり、海図を製作して渡した行為は、当時は韓半島(朝鮮半島)の平和のために軍事的緊張を緩和し、相互協力・交流を活性化しようという政治的活動であり、正当な職務執行だったという判断だ。
また、海図を渡した時、国家空間情報保安管理指針上の「座標が含まれている解像度120メートルより精密な水深資料」については公開が可能で、該当地域が「共同利用水域」だったことも嫌疑なしの根拠として提示された。
ク・ジュワ弁護士は「明白な国家機密(第3級機密)を渡したのにもかかわらず、スパイ・利敵容疑にならないことは、今後の類似事件に悪影響を及ぼすものとみられる」と語った。
チョン・ジュンヨン記者