韓国の検察庁は記者に最も不親切な省庁として挙げられる。メディアの取材に回答しないのはマシな方で、一部の幹部は「なぜ電話してくるのか」「困るんだよ」とにべもない。しかし、「ドイツモータース株価操作事件」を担当するソウル中央地検捜査チームは17日、昼食まで抜き質疑応答を含め4時間にわたり、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏を不起訴にした理由を親切に説明した。
捜査チームは株価操作に使われた金建希氏名義の大信証券の口座などを見ると、金建希氏が株価操作を知っていたかほう助したと「疑われる」状況だとしながらも、証拠がなく「立証できなかった」と説明した。11枚の報道参考資料は「犯罪の疑いがあっても、証拠がなければ被告人の利益で判断するしかない」という無罪判決文を見るようだった。
事件の資金提供者S氏の二審判決を受け、金建希氏に対する処分を決めた検察は、金建希氏とS氏の相違点をまとめた表まで作って説明した。検察が不起訴とした事件について、他の事件と比較するのは異例のことだ。
18日に行われた国会法制司法委員会の国政監査は「虚偽説明」論争に発展した。捜査チームは報道発表の当時、コバナコンテンツとドイツモータースの事件を同時に捜査し、金建希氏に対する捜索令状を請求したが、裁判所に棄却されたと説明した。ところが、李昌洙(イ・チャンス)ソウル中央地検長は翌日の国政監査で「コミュニケーションに誤りがあった」とし、ドイツモータースに関連する捜索令状の請求はなかった説明を変えた。李地検長は「政治的要求を受けて起訴したり処理を先送りしたりする方がむしろ政治検事だ」とも発言した。
現在の捜査チームは悔しさを覚えているかもしれない。文在寅(ムン・ジェイン)政権下の捜査チームも2021年、ドイツモータースのクォン・オス元会長を起訴したが、金建希氏を起訴することはできなかった。検察は尹錫悦政府発足から2年5カ月たってようやく結論を下した。金建希氏の2回目の書面答弁書は、検察がによる要請から1年後の昨年7月に提出された。大統領夫人でなければ、検察がこれほど待っただろうか。
野党議員が国政監査で検察に対し、「金女史(金建希氏)が雇った弁護士、ローファームのようだ」と批判したのも政治的攻勢には聞こえなかった。検察が今後「疑わしきは容疑者に有利に」という原則を金建希氏以外にも適用するかどうか見守る必要がある。
ユ・ヒゴン記者