【ソウル聯合ニュース】ノーベル文学賞受賞が決定した韓国の女性作家、韓江(ハン・ガン)さんは10日の受賞発表から一切メディアに露出しておらず、今後の活動に関心が集まっている。
韓さんの作品を出版した韓国の出版社は受賞記念記者会見を合同で行う準備を進めていたが、本人が固辞したため会見は行われないことになった。
これに先立ち、韓さんの父親で小説家の韓勝源(ハン・スンウォン)さんは11日、「ロシア、ウクライナやイスラエル、パレスチナで戦争が激化し、毎日遺体が運ばれていくのに何を祝うのかと、記者会見をしないことにしたそうだ」と明かしていた。
韓江さんは出版社を通じて「1日の間に巨大な波のように温かい祝意が伝わってきたことにも驚かされました。心から感謝します」とメッセージを伝えた。
記者会見を行わない上にメディアとのインタビューなども全て断っており、韓さんに対する国民の関心はますます高まっている。
韓さんがソウル市内に構える小さな独立系書店には、ノーベル文学賞の発表直後から客が殺到。書店側は当分の間休業することを決めた。書店の代表者は韓さんの名前になっているが、運営は関係者らが行い、本人は関わっていないという。
書店の近くにある自宅とされる住宅の前にも読者や報道陣が集まったが、韓さんは一切姿を見せていない。
これまでのところ、受賞後最初の公の活動は17日に開かれるポニー鄭財団主催の「ポニー鄭革新賞」の授賞式になる可能性が高い。
同財団は先月19日、第18回ポニー鄭革新賞の受賞者に韓さんを選定した。現代自動車の設立者、故鄭世永(チョン・セヨン)現代産業開発名誉会長の功績をたたえて2005年に設立されたポニー鄭財団は、奨学事業を中心に人文学分野の支援活動などを行っている。
授賞式は17日午後にソウル市内で行われる予定だが、韓さんは欠席するか代理を立てる可能性もある。
ポニー鄭革新賞の授賞式にも出席しなかった場合、韓さんの受賞後初の公の活動は12月10日にスウェーデン・ストックホルムで開かれるノーベル賞の授賞式になるとみられ、それまではスピーチ原稿の執筆に専念すると予想される。
授賞式でのスピーチは作家が自らの文学世界を整理して文学的な経験や苦悩、社会と作家の関係、文学と歴史の相互作用などに言及し、自身の文学と世界文学が進む方向について見解を表明する場だ。そのため、スピーチ原稿の作成は作家にとって作品を書く以上の苦悩と苦労を伴うものとされている。