春を売る女性たちの生きざまから18世紀英国を解剖する

春を売る女性たちの生きざまから18世紀英国を解剖する

【新刊】ハリー・ルーベンホールド著『コベントガーデンの女性たち』(ブックトリガー刊)

 1757年ロンドン。当時最高の歓楽街・コベントガーデンで、希代のベストセラーが誕生した。95年に廃刊されるまでの間に25万部が売れたこの本のタイトルは『ハリス・リスト(Harris's List of Covent Garden Ladies)』。男性であれば知らぬ者はいなかったが、公共の場所で読むことはできなかった。春を売る女性たちの特技や専攻、身の上の詳細などを記述した本だったからだ。

 18-19世紀英国の微視史・女性史の専攻者である著者は、この『ハリス・リスト』を通して、当時の性風俗を解き明かす。「光沢を出した象牙に比し得る肌」「顔は天使のようだが体は奇形的」「愛に没頭する瞬間を極度に好む」…著者は、徹底して男性の視点から記述されたこれらの女性たちをリアルによみがえらせていき、児童虐待や貧困、性暴力のスケープゴートだったこの女性たちの事情に注目した。「リスト」を作った詩人サミュエル・デリック(Samuel Derrick)、本のタイトルに名前を貸した遊郭の主人ジャック・ハリス(Jack Harris)などの話も立体的に復元した。

 煽情的なテーマを真摯(しんし)に熟考し、知的な文化史に昇華させた一冊。著者のこの文章が、「リスト」の主人公たちが厳しい暮らしをどのように耐えたのかを要約している。「愛の感情を思い通りに遮断する能力は、女たちの生存に必須の道具だった」。456ページ、2万2000ウォン(約2400円)

クァク・アラム記者

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