中国海軍内部にまで伸びていた米情報網…「原潜沈没隠蔽」失敗の顛末

中国、4カ月にわたり話を伏せていたが発覚
米国、衛星写真判読で分かるレベルを上回る情報を公開
「新型の周級攻撃型原潜はディーゼルエンジンと小型原子炉を搭載」

 WSJの報道直後、軍事専門家らの間では「内陸の長江沿いにある武昌造船所で原潜を建造したというのは本当か」という疑問が持ち上がりました。中国の原潜は、これまで渤海湾の葫蘆島の造船所で主に建造されていたからです。

 こうした疑問に関して、米国防総省が「この原潜がディーゼルエンジンに小型原子炉を追加したハイブリッド型」だと明かした-とワシントン・タイムズが報じました。ディーゼルエンジンを積んだ通常動力潜水艦は、原潜のように数カ月間も潜航していることはできないというのが短所です。随時水上に浮上しなければならず、敵に暴露しやすいのです。こうした問題を補完するため、従来のディーゼル潜水艦に補助動力源として小型原子炉を入れる方式を選んだというのです。

■「潜水艦戦力の格差縮小に支障」

 中国は習近平主席の政権獲得後、米国に比べ大幅に劣っている海軍力の強化に全力を挙げています。海軍の艦艇の総数はおよそ370隻で、米国(299隻)を既に上回りました。ただし潜水艦だけに限ってみると、量と質の面で格差があります。

 2022年現在、中国の潜水艦戦力は6隻の戦略原潜と6隻の攻撃型原潜、48隻の通常動力攻撃型潜水艦などで構成されているといいます。米国は全ての潜水艦が原子力で、14隻の弾道ミサイル潜水艦、4隻の誘導ミサイル潜水艦、53隻の攻撃型潜水艦などを保有しています。

 中国は、空母と水上艦、潜水艦戦力で米国と対等のところまで上がってこそ東シナ海・南シナ海・台湾海峡などで影響力を確保できるとみて、攻撃的に戦力を増やしてきましたが、この過程で今回の事故が発生しました。西側の専門家らは、今回の事故で、短期間のうちに米国の海軍力に追い付きたいという中国の構想に支障が出ることは避けられないだろう、とみています。

■否定できない中国外交部、「伝えられる情報はない」

 原潜建造の過程では沈没事故が起きることもあり得る、といいます。米国も1969年、カリフォルニアの造船所で停泊中だった原潜「ギターロ」(SSN665)が勤務者のミスで沈没し、修理に32カ月かかったといいます。

 問題は、こうした大きな事故を中国が徹底して隠した、というところにあります。核燃料を搭載しているかどうかなども一切公開していません。

 中国外交部(省に相当)と駐米中国大使館は、米国メディアの質問に対し「伝えられる情報はない」と回答しました。通常、質問の内容が正しいときに出てくる外交的修辞です。もし誤報であれば「中国の海軍力発展に焦る米国の冒険」だとし、積極的に反論してきたでしょう。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】中国の原子力潜水艦

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 中国海軍内部にまで伸びていた米情報網…「原潜沈没隠蔽」失敗の顛末
  • 中国海軍内部にまで伸びていた米情報網…「原潜沈没隠蔽」失敗の顛末

right

あわせて読みたい