韓国の女性小説家・韓江(ハン・ガン)氏がノーベル文学賞の受賞者に選ばれた。韓江氏のノーベル文学賞受賞は、韓国文学のレベルの高さを世界最高権威の文学賞を通じて認められたという点で、同氏個人の栄誉であるだけでなく、国家的快挙でもある。これでノーベル文学賞受賞者を生み出すという韓国文学の長年の宿願がかなった。韓中日の東アジア3カ国の中で唯一、ノーベル文学賞を受賞できていなかった状況からも脱した。
【写真】韓国人初のノーベル文学賞受賞 平積みされた韓江氏の本
韓江氏は韓国人作家の中でもノーベル文学賞の本場とも言える欧州で最もよく知られている作家だ。2016年の『菜食主義者』でノーベル文学賞やゴンクール賞と共に世界3大文学賞に挙げられている国際ブッカー賞を受賞し、昨年も韓国人としては初めてフランス4大文学賞の一つであるメディシス賞を受賞するなど、韓国人作家の中でノーベル文学賞に最も近いと評されてきた。これには、韓江氏自身の文学的力量が最も大きく作用しているのはもちろんだが、韓国をノーベル文学賞受賞国にするために、韓国文学翻訳院や大山文化財団などが翻訳支援を通じて韓国文学を着実に世界に広めてきた功績も大きい。
韓江氏のノーベル文学賞受賞は、個人の栄光にとどまらず、文化強国である韓国の国際的な位置づけを高める契機となるだろう。韓国の文学作品を読もうと考えている世界各国の読者たちの注目を集め、韓国文学の市場規模をこれまでになく広げ、韓国文学の国際化にも大きく寄与するであろうことは明らかだ。日本文学や中国文学もノーベル文学賞受賞後、世界市場に本格的に進出することができた。ノーベル文学賞受賞者を輩出した国々の先例に見られる通り、韓国の文学作品が映画やドラマ、アニメーションなどとして制作されるという波及効果も期待できるようになった。
韓国文化に対する世界の関心は、以前とは比べものにならないほど熱い。BTS(防弾少年団)やBLACKPINK(ブラックピンク)などのKポップに熱狂し、『パラサイト 半地下の家族』や『イカゲーム』などの韓国映画・ドラマはアカデミー賞やエミー賞の主役になった。「ネットフリックス」や「ディズニープラス」などの世界的な動画配信サービスでは、韓国人監督が手がけたり、韓国人俳優が出演したり、韓国を舞台にしたりした作品を配信している。これらに韓国文学も加わり、韓国は名実共にポップカルチャーだけでなく、文学でも世界最高レベルに飛躍することになった。韓半島(朝鮮半島)の歴史にこれまでなかった大きな成果が相次いで出ている。あらためて、韓江氏のノーベル文学賞受賞にお祝いの言葉を贈りたい。