尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫妻と親しいとされる明太均(ミョン・テギュン)氏が夫妻と交わした対話やメッセージを毎日のように公開している。最近ではメディアを通じて総選挙当時の候補者公認について交わした金建希氏とのテレグラム上でのやりとりを公開し、金建希氏の「公認介入疑惑」に火を付けた。また5日のインタビューでは「大統領選挙当時、尹候補の自宅を何度も訪問し、政治面でアドバイスを行った」とした上で「その家族(尹大統領と金建希氏)を座らせて首相を推薦した」「(金建希氏に)同じ仕事を3人にさせるようアドバイスした」などとも主張している。これが事実なら大統領夫妻のメンターのような振る舞いだが、これについて韓国大統領府は何もコメントしていない。
明太均氏は政界では決してその名が通っているわけではなく、せいぜい言論調査機関の経営者として名前が知られる程度だ。それが前回の大統領選挙の際、李俊錫(イ・ジュンソク)議員と当時の尹錫悦候補との面会に同席したことから、一部議員も明太均氏を「選挙ブローカー」と語っている。そのため政界の裏側でそれなりの活動をしてきたのは事実のようだ。大統領選挙など大きな選挙の際には「得票のアイデアがある」などと触れ回る人物はよく登場し、候補者らにとっては選挙戦でプラスになるなら誰でも会ってみたい思いに駆られるだろう。歴代の大統領たちもこのような人物からよく話を聞いていた。
しかし明太均氏のように大統領夫妻とのやりとりを自慢げに公開するケースは過去にはなかった。明太均氏は尹大統領が自らを「明博士」と呼んだ理由について「何でも知っていて何でも解決してくるから」と説明した。もちろん世の中にそんな人間はいないし、もしそうなら尹大統領夫妻は今このように困難な状況には追い込まれていないだろう。明太均氏のような人物がなぜ大統領夫妻との関係を維持しているかも疑問だ。
明太均氏だけではない。3カ月前にはブランドバッグ問題で金建希氏が与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表に送ったメールがそのまま公開された。金建希氏が総選挙直後に政治評論家に電話をかけ、57分にわたり通話した内容も公開された。今も「大統領夫妻と親しい」などと自慢し、そのやりとりした内容を自慢げに公開する人物はもはや1人や2人のレベルではない。
歴代の政権では通常なら今回のような問題は大統領の力と権威が低下する政権末期に起こっていた。ところが尹錫悦政権はその任期がまだ半分も過ぎていない今の時期から、大統領夫妻の周囲とやりとりした対話が次々と暴露されている。これは政権の支持率下落とも関係しているはずだ。大統領夫妻に慎重さが欠けていることも問題だ。このままでは今後も「第2の明太均」が出てこないとは決して言い切れない。