金建希氏特別検事法の無限ループ、終わりはどこに【10月5日付社説】

 4日の国会本会議で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑を特別検察官に捜査させる特別法案「金建希女史特別検事法」の採決が再び行われたが、否決された。野党・共に民主党が強行採決に持ち込んだ同法案に大統領が拒否権を行使し、再び採決が行われ否決されるのはこれで2回目だ。共に民主党は同日、この特別検事法をあらためて採決に持ち込む方針を明確にした。特別検事法の強行採決、拒否権行使、再採決の悪循環が無限に繰り返されている形だ。

【写真】英キャサリン妃と談笑する金建希夫人

 与党・国民の力の金在渉(キム·ジェソプ)議員は「特別検事法案そのものの違憲性を理由に良心に基づいて反対した。しかし金建希氏をめぐる問題は深刻だ」と発言した。現在金建希氏は過去のドイツ・モータース株価捜査疑惑、コバナコンテンツ展示会企業の後援、ブランドバッグ受け取り疑惑以外にも人事や選挙公認への介入疑惑が指摘されている。先日の総選挙を前に党の公認をめぐり金建希氏とその周辺がやり取りしたメールや録音なども公開された。今回の国会での採決で金建希氏と海兵隊員特別検事法は賛成194票、反対104票、棄権1票、無効1票で否決された。108議席を持つ与党・国民の力は党として否決の方針を決めているが、反対が104票にとどまったのは少なくとも4人がこの方針に反対し離脱したことになる。8人が離脱すれば金建希氏特別検事法は国会での再採決というハードルを乗り越え、大統領も拒否権を行使できなくなる。

 与党などからは「次の再表決はどうなるかわからない」との雰囲気が広がっているという。共に民主党が今後金建希特別検事法の毒素条項を削除し、あらためて採決に持ち込んだ場合、与党の離脱票がさらに増える可能性があるからだ。今回の法案では共に民主党と祖国革新党が特別検事候補2人を事実上推薦するとしているが、これでは特別検事による捜査の公正性は最初から期待できない。特別検事はこれまで与野党の合意で実施されてきた。双方のうち一方の疑惑を捜査する特別検事の場合はなおさらこの合意は重要だ。そのためこのままでは「共に民主党特別検事」の捜査結果がまた新たな問題を引き起こすだろう。金建希氏関連であれば何でも捜査できるという内容も問題だ。容疑ではなく人に目を付けた捜査はもはや法に基づくものではなくリンチだ。

 共に民主党の特別検事法案は法理に反するが、それでも世論調査ではこの法律への賛成は60-70%に達している。国民もそれだけ大きな疑問を抱いているのだ。韓国大統領府と与党は「野党による政治攻勢」として拒否権や党としての否決にこだわり続ける状況ではない。共に民主党の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は採決が行われた直後「金建希氏1人を守るため保守全体を滅ぼすという愚かな選択はするな」と発言したが、これは李在明(イ・ジェミョン)代表1人を守るためには何でもありの共に民主党が言える言葉ではない。ただし「その言葉自体は正しい」と考える有権者も決して少なくはないだろう。

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  • 国会は4日の本会議で「金建希(キム・ゴンヒ)女史特別検事法」「チェ上兵特別検事法」「地域貨幣法改正案」を採決し、その結果を禹元植(ウ·ウォンシク)国会議長に提出した。/聯合ニュース

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