韓国国内の文化財遺物を海外へ不法に持ち出した疑いが持たれている梁義淑(ヤン・イスク)元韓国古美術協会長が検察に送致された。梁元会長は、文化財鑑定番組『TVショー 珍品名品』の審査委員としてよく知られた人物だ。
大田警察庁は2日、文化財保護法(国家遺産基本法)違反容疑で梁元会長を書類送検したことを明らかにした。梁元会長は昨年、韓国国内の文化遺産遺物数点を国家遺産庁(旧文化財庁)の許可なくオーストラリアのビクトリア国立美術館にひそかに持ち出した疑いが持たれている。
関連法によると、国宝や宝物ではない非指定文化遺産であっても、作られてから50年以上が経過して状態が良好であり、歴史的・芸術的・学術的価値を持っていれば国家遺産庁の許可を受けなければ韓国国外へ持ち出すことはできない。韓国警察は、梁元会長が個人的にオーストラリアの美術館側と販売契約を結んだ後、海外の特別輸送業者を利用して文化財を持ち出したことをつかんだ。オーストラリアの美術館における展示のプロセスにも国家遺産庁の事前許可はなかった。
先に韓国警察は、梁元会長が運営しているギャラリーを家宅捜索した。続いて今年8月には、国家遺産庁と合同でオーストラリアの美術館で実物の鑑定を行った。その結果、対象の遺物25点のうち半数以上が法律違反の品に分類された。
梁元会長は、これらの遺物については国家遺産庁の許可を受けるほどの価値あるものではないという立場を表明していた。梁元会長は「オーストラリアの博物館で生活史関連の展示を準備した際、一部の行政手続きがもつれた」とし「30年になる木綿のチョゴリや20年になる靴など、50年を超えたというべき遺物もほとんどない」と釈明していた。その上で「広木(幅広の木綿布)のパジチョゴリが少し汚れてるのを文化財だというのはどうなのか」と主張した。
梁元会長は2021年から昨年まで韓国古美術協会長を務めた。KBS時事教養番組『TVショー 珍品名品』に長らく鑑定委員として出演したことでよく知られている。
ムン・ジヨン記者