「接見を引き出す手段」→「請託」 韓国検察「供述を翻したチェ・ジェヨン牧師の主張は信用できない」 ブランド品受領問題

「私を処罰してほしい」と言うチェ・ジェヨン牧師も嫌疑なし

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡る「ディオールのバッグ授受」疑惑を捜査したソウル中央地検捜査チームは2日、金夫人だけでなく金夫人にディオールのバッグを渡した在米韓国人牧師チェ・ジェヨンも「嫌疑なし」処分とした。チェ牧師は「ディオールのバッグ」について職務関連性や対価性があるとして、自分を処罰してほしいと主張し、チェ牧師が申請した検察捜査審議委員会も9月24日、8対7でチェ牧師を請託禁止法違反容疑で起訴すべきと勧告した。だが捜査チームは、ディオールのバッグは尹大統領の職務と関連がなく、チェ牧師の変遷する供述を信用できないと判断して不起訴処分にすることとした。

【検証写真】「ネットメディア記者が購入したバッグと金建希夫人が受け取ったバッグは同一」

 請託禁止法は、公職者の配偶者が「職務と関連して」1回100万ウォン(現在のレートで約11万円、以下同じ)、年間300万ウォン(約33万円)超の金品を受け取ってはならないと規定している。また、誰であれ公職者や公職者の配偶者に禁止金品を提供してはならない。検察は、立法趣旨や判例を参照すると、チェ牧師を起訴しようと思ったら「ディオールのバッグ」が大統領の職務と関連して対価性がある金品だと認められる必要があるとみている。

 チェ牧師は今年5月の検察の事情聴取において、昨年6月から9月にかけて金夫人に渡したディオールのバッグやシャネルの化粧品などについて「接見を引き出す手段」「就任祝いの贈り物」だと供述した。同じ時期にチェ牧師は、メディアのインタビューでも「対価性だとか職務関連性はなかった」という趣旨で語っていた。チェ牧師と金夫人がやりとりしたカカオトークのメッセージの内容も同様だった。

 チェ牧師は、ジェイ・キム(韓国名:金昌準〈キム・チャンジュン〉)元米下院議員の国政諮問委員への任命などを金夫人に請託したと主張している。だがチェ牧師が主張した請託は全て実現しておらず、金夫人が対応しなかったり金夫人に直接伝達されなかったりしたものがほとんどだというのが検察の捜査結果だ。捜査チームは、こうした点からみて、ディオールのバッグなどが大統領の職務と関連があるとは見なし難く、金夫人と友好的関係を維持したり接見の機会を得たりするための手段とみるのが正しい、と判断した。検察関係者は「チェ牧師が意図を持って緻密に計画した」とし「チェ牧師は最近、職務関連性があると主張しているが、これは検察の供述書、アプリのメッセージなど客観的証拠と食い違っている」と語った。その上で「国民の法感情に合わないかもしれないが、捜査チームが法律家の職業的良心に基づいて下した結論」だとした。

 チェ牧師側は同日、検察が尹大統領夫妻の弁護人役をしたと批判した。金夫人を告発していた「ソウルの声」側は抗告したいと表明した。

ユ・ジョンホン記者、イ・ミンジュン記者

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  • ▲チェ・ジェヨン牧師。9月27日/ニュース1
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