韓国スポーツジムのトイレに大量に捨てられるステロイド注射器、筋トレブームの陰で深刻な薬物汚染

深刻な違法薬物の誤用・乱用

 問題は、趣味でボディービルディングに取り組む一般人まで薬物を容易に手に入れられることだ。昨年7月、江原道原州市のスポーツトレーナーは、会員に違法なステロイド剤を勧めて5万ウォン(約5400円)相当の医薬品を販売した上、肩に注射器でステロイド剤を注入した疑いで罰金200万ウォン(約22万円)を言い渡された。野党「共に民主党」の閔馨培(ミン・ヒョンベ)議員室が文化体育観光部(省に相当)・韓国ドーピング防止委員会から入手した資料によると、最近10年間(2015-24.9)に大会禁止薬物を服用して摘発された件数は239件だった。このうち42件は10代の青少年で、5人に1人が10代だったことになる。中には9歳の子どもも含まれていた。

 このような状況にもかかわらず、当局が事実上対応を放棄しているのでないかとの指摘も出ている。アナボリックステロイドなどを医師の処方なしに服用・注射するのは現行の医療法・薬事法に違反する行為だ。薬事法の改正によって22年7月以降はこれらの薬物を購入した人の処罰も可能になったが、現在までに食品医薬品安全処が購入者を処罰したケースはない。テレグラムなどで活発に営業している販売業者に対する取り締まり・処罰もほとんど行われていない。21年に2件、22年は0件、23年は2件、24年は8月現在で3件にとどまっている。

 梨大ソウル病院の沈京原(シム・ギョンウォン)教授(家庭医学科)は「ステロイド剤は治療目的で使用しても基礎疾患、容量、投薬中断などの面で細心の注意が必要な薬物なのに、これを筋肉増量、体脂肪減少などの目的で使うのはとんでもないこと」だとして「短期的には大きな問題がなくても、使用し続ければひどい場合には急死する可能性もある」と指摘した。実際に30-40代の若いボディービルダーたちが細菌感染や心臓まひなどで死亡するケースが報告されている。

ソ・ボボム記者

【写真】「注射器はごみ箱に捨ててください」 スポーツジムのトイレの様子

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