没落する金正恩政権のためにラッパを吹く人々【寄稿】

フランスの左派ミッテラン政権は予想に反してソ連と対立
北朝鮮とも人権問題で国交樹立を拒否
本物の左派と偽物の左派を判別する方法はある
民主主義・人権の厳正な物差しを北朝鮮にも当てはめるかどうか
金正恩に呼応して「統一の消去」に乗り出した韓国の左派、恥ずかしくないのか

 今も同様だが、当時の西欧の政界では大小数多くの社会主義政党が乱立し、各党の本当のアイデンティティーを把握するのに苦労した。そうして3年間のフランス勤務を終えるころ、本物の社会主義政党と親ソ連のかいらい政党を見分ける非常に簡単で正確な方法を会得した。欧州の社会主義の最優先価値である民主主義と人権の厳正な物差しを、フランスはもちろん米国・ソ連・中国・北朝鮮など全ての国に等しく適用する政党は真の社会主義政党であって、いかなる口実であれ同じ物差しをソ連や共産諸国に適用することを忌避する政党は十中八九、ソ連に盲従する偽物の社会主義衛星政党だった。

 このような偽物鑑別法は、骨の髄までの共産主義者、夢想的社会主義者、社会民主主義者、親北朝鮮の主思(主体思想)派、盲目的従北主義者、左派オポチュニストなど各種の異質な構成要素が混在する韓国左派陣営構成員のアイデンティティーを判読する上でも極めて有用な道具だ。韓国左派陣営の艦別における最優先課題は、欧州の社会主義政党のようにイデオロギー的価値のために献身する「真の左派」と、ソ連のラッパ手だった欧州共産党のように専ら北朝鮮のために忠誠のラッパを吹く「エセ左派」を区別することだ。偽物判別の最も確実な方法は、彼らが社会主義本来の普遍的核心命題である民主主義と人権を本当に信奉し、行動で実践しているかどうか検証することだ。特に、彼らが韓国国内の問題に突き付けている民主主義と人権の厳正な物差しを、北朝鮮の民主化と人権、脱北者の人権、中国の人権、新疆ウイグルの人権などにも同じように適用しているかどうかが何より重要だ。

 今の韓国左派陣営では、北朝鮮発の大騒動が起きている。体制崩壊と吸収統一の恐怖で真っ青になった金正恩(キム・ジョンウン)がいきなり、先代の80年にわたる遺業である統一課業を廃止し、統一運動の痕跡をことごとく消し始めた。すると、「統一」のスローガンで食べていた韓国左派首脳部の一角がこれに雷同し、一斉に統一の消去に乗り出している。恥ずかしくないのか。いかなる合理的名分も、釈明もなく、突然正反対の方向へラッパを吹きまくる彼らの姿を見ると、ソ連のラッパ手を務めて歴史の審判を受け、没落した欧州共産党が思い浮かぶ。

李容濬(イ・ヨンジュン)世宗研究所理事長・元韓国外交部(省に相当)北核大使

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