英「エコノミスト」紙は今年6月、中国が子どもの近視を減らすことに苦戦している、と報じた。習近平国家主席は2018年、「児童・生徒の近視有病率が高くなっており、年齢も低下している。国と民族の未来にとって大きな問題」と述べて対応を指示した。その後、中国は小学校・中学校の宿題や試験の負担を軽減し、近視を減らそうと努めている。だが、保護者たちの教育熱を抑えるという点では力不足だという。
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東アジアの近視急増は眼科学界の主な研究対象だ。2015年に「ネイチャー」誌は「韓国の19歳男性の96.5%は近視」だと驚いた。韓国人自身にとっても驚くべきことだ。1960年代の時点では「遺伝」を近視の原因とみて、関連の遺伝子も究明された。しかし遺伝的原因だけでは、1950年代の時点で人口の10-20%に過ぎなかった東アジアの近視患者が、わずか数十年で80-90%にまで急増したことを説明できない。
1990年代には読書やコンピューターの使用の影響が注目されたが、それも主たる原因ではないという研究が出てきた。2007年に米国の児童500人を5年間追跡した研究で、近視と強い相関関係を持つ環境的要因は「野外活動の時間が足りない」ということだけ、という結果が発表された。08年にオーストラリアの研究チームが小・中の児童・生徒4000人を3年間追跡観察した研究でも、同じ結果が出た。
近視は、眼球の前後の長さが大きくなり過ぎることで生じる病だ。緑内障・網膜剝離・白内障・黄斑変性といった深刻な疾病の危険性まで高まる。学界では、成長期の野外活動の近視予防効果は「太陽の光」にある、と推定した。太陽の光が目に入ると、網膜で神経伝達物質のドーパミンが分泌され、眼球の過度の成長を抑えてくれるのだ。子どもが太陽の光をあまり浴びないと、ドーパミンの分泌がかく乱され、成長に伴って近視になる確率が高まる。独・豪・日では、太陽の光と似た特性を持つ波長の光を目に当てて近視を抑制する技術や医療機器を作る研究を行っている。
中国の研究チームが最近、英国の眼科学会誌に発表した研究によると、世界の子どもの近視有病率は36%で、1990年代より3倍に増えたという。都市化や、太陽の光を浴びない室内生活の増加のせいだ。日本(85%)・韓国(73%)・シンガポール(44%)・中国(41%)など、東アジアの近視有病率が最も高かった。1日に2-3時間、太陽の光を浴びて遊び回れば、近視は減っていく。だからシンガポールも成長期の児童の野外活動を増やそうとしたが、保護者らの抵抗にぶつかった。視力も守り、成績も高める方法はあるはずだ。
金真明(キム・ジンミョン)記者