一部では、中国がアジアの開発途上国の文化コンテンツ市場を戦略的に掌握しつつあるとの分析も出ている。韓国ドラマがハリウッドまで進出して「ファンシー・アジアン」(東アジア系の人々)のコンテンツをリードしている間に、中国は東南アジアという巨大市場を狙ったのだ。ネットフリックスなどが支配している欧米市場に比べて、東南アジアが「ブルーオーシャン」である点も、中国が集中的に攻略した理由だった。中国は米国の封じ込め戦略に対抗して経済・政治分野でグローバル・サウス(主に南半球にある開発途上国)を抱き込んでいるが、文化産業でも同様の戦略を駆使しているとの指摘も出ている。
韓国ドラマが世界的に注目を集め、製作費が急上昇して版権の確保が困難になった影響で、東南アジアで中国ドラマの消費が増加したとの分析も聞かれる。それに加え、東南アジアは華僑の影響力が大きいため、中国の文化になじみやすいという面もある。
中国がコンテンツ産業でAIを積極的に導入するようになり、制作力が大幅に向上したとの評価も出ている。iQIYIは制作段階でのキャラクター設定、企画案の作成、シナリオの評価・検閲、映像構成にとどまらず、広報やマーケティングのキャッチコピーまでAIモデルを利用している。龔宇CEOは「これからはAIモデルがなければ会社は電気が切れたように回らなくなるだろう。iQIYIのあらゆる業務にAIが浸透しているからだ」と述べた。龔宇CEOは「22年末、中国で誰もが新型コロナに感染して感染拡大が終わったころに(生成AIの)ChatGPTが登場し、昨年初めから現在までのわずか1年半で世界のコンテンツ創作でAIが革新的に使われ始めた」「AIは全世界のデータを収集して研究したおかげで、今ではクリエイターの意図を人間よりもよく理解している」と説明した。
急速に変化する中国のドラマ市場のトレンドが、海外での市場拡大に有利に働いているとの分析も出ている。中国では従来の長編作品(1話45分)から、ミッドフォーム(15-20分)、ショートフォーム(1分未満)まで、さまざまな形態のコンテンツ制作が活発に行われている。中国のコンテンツ業界の関係者は「中国では国内市場が飽和状態にある上、厳格な検閲などの規制があるため、中国の動画配信企業の海外進出はいっそう加速化するはずだ」と話した。
北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員