故・金大中(キム・デジュン)元大統領の三男で野党・共に民主党議員だった金弘傑(キム·ホンゴル)氏が100億ウォン(約11億円)で売却した金大中元大統領の私邸(ソウル市麻浦区東橋洞)について、金大中財団がこれを買い戻す権利を確保する協約を現在の所有者と締結した。財団が26日に明らかにした。財団が私邸を買い取り、「金大中・李姫鎬(イ・ヒホ)記念館」として整備する計画だが、その財源を確保するため国民から募金を集める考えを表明し問題となっている。
金大中財団は同日、ソウル市永登浦区の財団事務室で東橋洞私邸の現在の所有主らと会合を持ち「私邸を財団に優先的に売却する意思があり、財団が希望する時期に売買契約を締結する」という内容の協約を結んだ。財団のペ・キソン事務総長は協約式で「(現在の所有主に)損害が発生しないようにしたい」「取得税や登録税を含む諸費用、銀行への利子の支払いなどもこちらで負担する」と説明した。100億ウォン以上かけて私邸を買い取るというのだ。財団は資金確保に向け本格的な募金運動を開始するという。
この東橋洞私邸は2019年6月に金大中元大統領の妻の故・李姫鎬氏が死去した際、三男の金弘傑氏が相続を受けていた。李姫鎬氏は「私邸を記念館として使ってほしい」との遺言を残していたが、金弘傑氏は今年7月に私邸の所有権をコーヒー・フランチャイズ事業を展開する現在の所有主に100億ウォンで売却した。17億ウォン(約1億9000万円)とされる相続税が支払えなかったからだという。この売却について野党などからは「金弘傑氏は金大中元大統領の遺産を私有物として民間に売却した」「国民の非難を受ける行為だ」などと批判していた。
金弘傑氏の私邸売却が伝えられると、金大中財団や東橋洞系の関係者らが買い戻しに向け動き出した。金大中元大統領の秘書室長を務めた朴智元(パク・チウォン)共に民主党議員は6億ウォン(約6600万円)の私財を提供する意向を示し、また同党の鄭清来(チョン·チョンレ)議員らは「税金で買い戻して公共の建物に」と主張した。しかし100億ウォンもの巨額の資金を準備するのは難しいため、財源確保のために募金運動を行うことにしたという。これを受け文在寅(ムン・ジェイン)前大統領や故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の妻の権良淑(クォン・ヤンスク)氏らも資金提供の意向を表明している。ただし与党・国民の力の金鍾赫(キム・ジョンヒョク)最高委員らは「募金を通じて東橋洞私邸を買い戻すとすれば、これは市民が金弘傑氏に支払うのと大きな違いはない」と批判した。
チュ・ヒヨン記者