市民団体「キル(道)」の閔庚宇(ミン・ギョンウ)代表(59)は1995年から10年間、祖国統一汎民族連合(汎民連)で南側本部事務処長を務め、民族解放(NL)系の「統一運動」に参加。国家保安法違反で4年2ヵ月間にわたり服役した。閔代表は20日、本紙とのインタビューに応じ、任鍾晳(イム・ジョンソク)元大統領秘書室長が前日、「9・19平壌共同宣言6周年記念式」で「統一はやめよう」と提唱した「南北二国論」に関連し、「金正恩(キム・ジョンウン)が提示した二国論が韓国の制度圏政治(既存の制度下における政治)に本格的に入ってきたことを意味する」と話した。以下はその一問一答。
【写真】1989年に訪朝を終えて板門店から帰還した林秀卿氏と文奎鉉神父
―林元室長の発言をどう見るか。
「わずか5年前に統一運動をやりたいと言っていた人物が突然『統一はやめよう』と立場を変えた。そして、統一部の整理、国家保安法の廃止にまで言及した。「まずは北朝鮮の立場が正しい」と考える心理とみられる。一般人は理解しにくいだろうが、個人的に統一運動をしながらそうしたケースをよく目にした」
―昨年末、金正恩が「敵対的二国家宣言」を行い、対南機関を廃止すると、韓国でも汎民連韓国本部が解散した。
「今年上半期、北朝鮮が韓国国内のNL陣営に『統一問題は除外しよう』と伝えたと聞いた。長い間「統一運動」を行ってきた汎民連南側本部、6・15共同宣言実践南側委員会はそれぞれ自主連合、自主統一平和連帯に再編された。彼らの主張から統一は抜け落ちたり減ったりして、平和共存、自主、反帝国主義が強調された。ところが、北朝鮮の目には韓国でこれといった反響がなかったように映った。そんな状況で任鍾晳という『大物メッセンジャー』が北朝鮮の新しい路線に沿った言及を行ったのだ」
―「統一」をアイデンティティーとしていた政治家が「反統一」を主張したことになるが。
「統一運動史を見ると、急激な立場変化は初めてではない。1991年の南北国連同時加盟当時、北朝鮮の立場が一夜にして変わると、韓国国内の在野勢力も立場を変えた。韓国は南北が国連に同時加盟しようという立場であり、北朝鮮はそれを『反統一政策』だとし、南北が『単一議席』で加盟しようと主張した。国内の在野勢力は長い間北朝鮮の立場を支持し、単一議席による加盟を『統一の試金石』だと主張した。しかし、東欧の国々が反対せず、韓国が先に国連に加盟する可能性が高まると、北朝鮮は先に国連に加盟してしまった。当時北朝鮮が出した声明を今も覚えている。主体思想派は内部的に混乱があったが、『北朝鮮がやることはひとまず信じてみよう』と言い追随した」