【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は26日、ソウル市内のフォーシーズンズホテルで「国家人工知能委員会」の発足式と第1回会議を主宰し、「韓国を人工知能(AI)世界トップ3の強国へと飛躍させる」として「AI国家総力戦」を宣言した。
同ホテルは2016年3月にプロ囲碁棋士、李世ドル(イ・セドル)九段と囲碁AI「アルファ碁」が世紀の対局を繰り広げた場所だ。
尹大統領は、AIが国力と経済成長を左右し、経済・安全保障の中核となる時代への転換過程にあるとして、世界の主要国がデジタル覇権戦争で勝利するためのAI技術と主導権を先取りするために躍起になっていると指摘。「わが国の命運がかかったAI転換を国家人工知能委員会が先頭に立ってリードし、けん引車の役割を果たす」と強調した。
尹大統領は自ら委員長を務め、AI分野の専門家からなる民間委員30人と長官(閣僚)級の政府委員10人による委員会を構成してAI分野の技術力を集約する計画だ。
官民の投資により「国家AIコンピューティングセンター」を構築し、産業や社会全般におけるAI転換を促進して民間のAI分野への投資拡大をけん引する。また、著作権と個人情報保護の規制を緩和し、研究開発・インフラ、法・制度などあらゆる分野で緻密な戦略を立てて徹底的に履行する。
一方で尹大統領は、自由民主主義を脅かす偽ニュースやディープフェイク(AIで生成した偽の画像・動画)技術を悪用した人権侵害など、デジタル格差に伴うさまざまな副作用が表れていると指摘。デジタル時代の基本方向を提示した22年の「ニューヨーク構想」をはじめ、昨年9月には国連総会の演説でデジタル格差の解消を提起し「デジタル権利章典」を策定するなど、デジタル規範確立の先頭に立ってきたと強調した。
これを基に5月に開催した「AIソウルサミット」では、安全、革新、包容の3大原則を盛り込んだ「ソウル宣言」を発表したと説明した。このほか、4月から未来AI半導体市場に向けた「AI―半導体イニシアチブ」を推進しており、韓米首脳会談の成果として「韓米AIワーキンググループ」を運営しているほか、韓米が共同でAIの研究開発を行う「グローバルAIフロンティアラボ」も開所したと強調した。
この日の発足式で、尹大統領は国家人工知能委員会副委員長に廉載鎬(ヨム・ジェホ)泰斎大総長を任命した。