米ウォール街を代表する対中投資擁護派レイ・ダリオ氏「現在の中国は『失われた30年』入り当時の日本と酷似」

 「中国は1990年代の日本よりも困難な状況に直面しかねない」

 「ヘッジファンド界のゴッドファーザー」として知られるブリッジウォーター・アソシエイツの設立者、レイ・ダリオ氏は最近、中国経済を「失われた30年」入り当時の日本と比較した。ダリオ氏は米ウォール街を代表する対中投資擁護派として知られる。4年前までは「帝国は生産的かつ財政的に健全でなければならない。そうした側面から米中を比較すると、原則的には中国の方が有利だ」と述べ、対中投資を推奨した。だが、ダリオ氏は最近、不動産など資産価格の下落、雇用減少、賃金低下などに言及し、「中国の多くの企業と地方政府が債務問題を経験しており、それをまともに処理しなければ長期間好ましくない結果を招く恐れがある」との警告を繰り返し発している。

【表】「中国に代わる投資先」のはずが…インド進出企業の被害例

 世界的な投資銀行は、中国経済のデフレ圧力が強まっていると懸念する。中国の8月の生産者物価は前年同月を1.8%下回り、1年11カ月連続で下落傾向が続いたが、これは2016年以降で最長だ。

 このため、新興国の投資戦略から中国を排除する動きも出ている。今月初め、JPモルガンは中国株に対する投資意見を「買い増し」から「中立」に下方修正した。米中による貿易戦争の可能性が中国株に負担となる中、低迷からの脱却を目指す中国政府の動きが不十分で失望を招いているという理由からだ。

 世界的な投資銀行は中国政府が大規模な景気浮揚策を取るべきだと指摘する。モルガン・スタンレーのチーフエコノミスト、ロビン・シン氏は、中国が財政赤字を国内総生産(GDP)の11%から14%まで毎年増やすべきだと主張する。彼は「財政赤字を増やせば今後数年間、中国の経済成長率は5%を超えるだろうが、現在の政策を維持すれば今年と来年の経済成長率は4%台にとどまるだろう」と分析した。モルガン・スタンレーは財政赤字を通じて調達される10兆元(約203兆円)規模の資金のうち、7兆元を農民工(仕事を求めて都市に向かう農民)などに対する社会福祉支出拡充に充てて内需を刺激し、3兆元は不動産市場の安定化に投じるべきだと注文する。中国政府が2008年の世界的な金融危機の際に実行した4兆元の景気浮揚策を上回る大規模な資金投入が必要になるとの見方だ。

金正薫(キム・ジョンフン)記者

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