【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は24日の閣議で、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の秘書室長を務めた任鍾ソク(イム・ジョンソク)氏が北朝鮮との統一をやめようと主張したことについて、「統一を人生の目標のように話していた人たちが、北が『二つの国家』を唱えたとたんに自分たちの主張を急に変えた。到底理解できない」と批判した。
任氏は、文前大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が「平壌共同宣言」に署名してから6年となる19日に開かれた記念式典で、「客観的な現実を受け止め、二つの国家を受け入れよう」と述べた。任氏が1980年代後半の学生運動を主導し、米国を排除して北朝鮮との統一を目指すという「反米自主統一」を掲げた勢力を代表した人物の一人だったことや、文前政権で南北首脳会談の準備委員長を務めたことなどから波紋が広がった。また、金氏は昨年末、韓国との関係を「敵対的な二つの国家」と宣言し、統一の対象として見なさない方針を表明しており、任氏の発言を巡っては「金氏の主張に同調している」との指摘が出た。多くの専門家が否定的な見解を示し、野党からも「急進的な主張」との声が出ている。
尹大統領は「自分たちの統一主張に同意しないと反統一・反民族勢力だと非難したのに、突然立場を180度変えたことを誰が納得できるのか」として、「憲法が課した自由民主主義平和統一の義務に反する反憲法的な発想」と批判した。また、「北が核攻撃も辞さないとして敵対的な二つの国家を主張する状況で『平和的な二つの国家』が果たして可能なのか」とし、「統一を放棄すれば南北の対立はさらに激化し、朝鮮半島の安全保障リスクも大きくなる」と述べた。
そのうえで、「政府は強力な力と原則(堅持)による真の平和を構築する。今後も平和的な自由統一を推進していく」と強調。「これは決して武力による統一ではなく、政府は朝鮮半島の誰もが幸せな自由統一に近づくための努力を強化する」と述べた。