中国政府が技術と産業が成熟するまで規制をせず、市場が成熟するか副作用が生じた時点で市場介入を始める点も奏功しているもようだ。中国は米国と同様、新産業分野はひとまず許容し、副作用が生じれば規制をつくる「ネガティブ規制」方式を採用している。
自動車部品メーカーの現地法人トップは「中国ではある程度技術が開発されると、すぐに市場に投入して市場の反応を見ながら技術改良を行うため、新技術とスマート化の進展が非常に速い」とし、「韓国では技術開発だけを主に行い、規制が多く、技術改良が遅く、市場投入には長い時間がかかる」と弱点を指摘した。
新技術に対する思い切った支援と試行錯誤を容認する文化もプラスになっている。化学業界の役員は「中国の場合、新素材、量子コンピュータ、人工知能(AI)などを戦略的に支援する。設立初期の企業は保険から投資額の80%程度を支援してくれるので、思う存分試行錯誤を行って成長する」と話す。
銀行の現地法人トップは「中国最大のメッセンジャー『微信(ウィーチャット)』の成功の秘訣を見れば、中国政府の新産業育成戦略を垣間見ることができる」と指摘した。微信は手数料なしで口座振替ができる事業に参入し、都市銀行の顧客を囲い込んだ。中国の5大銀行が反発しているにもかかわらず、中国政府は微信が成功を収めるまで黙認。2017年になってようやく微信の資金管理を銀行に委託するよう規制した。微信は銀行業務はできなくなったが、その代わりにそれまでに獲得した10億人のユーザーに対する広告など他の事業で成功することができた。スタートアップが独り立ちする基盤を整えるまで待って、規制を始めるのだ。
柳井(リュ・ジョン)記者、ソ・ユグン記者、チョ・ジェヒョン記者