大谷の今季初盗塁はソウルで飛び出した。3月20日にソウル高尺スカイドームで行われたサンディエゴ・パドレスとの大リーグ開幕戦で、3回表にパドレスの先発投手ダルビッシュ有の初球に盗塁を試み、二塁に進んだ。2021年の26盗塁がこれまでの自己最高記録で、この2年間の合計は31盗塁だった大谷だが、この瞬間から50盗塁に向かって疾走を始めた。肘の手術で1シーズンを通してリハビリをしなければならなかった中、大谷はハードなスピード・トレーニングを春キャンプから始めていた。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は当時、「投球をしないので、出し惜しみすることはない」と語っていた。大谷は6月に16盗塁、7月と8月には27盗塁した。
2023年からベースが大きくなり、ピッチクロックが導入されるなど、MLBの新ルールにより盗塁するのにいっそう有利な環境が整ったことも一因だ。2022年の両リーグを合わせた盗塁数は2486個だったが、2023年には3503個に増えた。1年で1017個の増加は1987年以降で最も大幅なものだ。しかし、今シーズンで大谷より盗塁数が多いのはエリー・デラクルーズの64盗塁だけだ。大谷の今季の走塁スピードは秒速8.56メートルで平均をはるかに上回るが、10回以上出場機会があった556選手のうち154位だ。つまり、単に足が速いのではなく、相手投手を分析した結果なのだ。ドジャースのクレイトン・マッカラー・一塁コーチは「彼がここまで来られたのは偶然ではない。大谷は相手チームで登板が予定されている先発投手とリリーフ投手のビデオを詳しく見て、自ら勉強してベースを盗んでいる」と語った。
大谷の51本塁打は50人の別々の投手から奪ったものだ。6月17日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦でブレイディ・シンガーから2本塁打を放ったが、それ以外の49本塁打はすべて別の投手から打ったものだ。特定の投手の天敵になって、集中的に打ったわけではないということだ。このうち26本塁打がホーム球場のドジャースタジアムで飛び出した。打球の方向の分布も理想的だ。ライトフェンス越えは27本、センターフェンス越えは18本、レフトフェンス越えも9本あった。しかも、大谷は最も遠くへ打つ打者だ。大谷は今シーズン、飛距離450フィート(137メートル)以上の特大ホームランだけで9本打っているが、これは6回のアーロン・ジャッジ=ニューヨーク・ヤンキース=を上回り、リーグ最多だ。
米スポーツ・メディアのESPNは大谷の50-50について、「現実ではありえない選手が不可能を可能にした」「ロアール・アムンセンの南極点到達、チャールズ・リンドバーグの大西洋横断、そしてニール・アームストロングの月面着陸に匹敵する」と報じた。
今季打率2割9分4厘、176安打、51本塁打、51盗塁、120打点、123得点、出塁率3割7分6厘、長打率6割2分9厘、OPS(出塁率+長打率)1.005を記録している大谷は、公式戦があと9試合残っている。
ヤン・スンス記者