昨年第3四半期にマイナス121億ドルを記録したのは、中国政府には大きなショックでした。1998年にFDIの統計を取り始めて以来、四半期ベースでFDIがマイナスとなったのは初めてでした。今回は2回目ですが、純流出の規模が昨年第3四半期を上回りました。中国のFDIはゼロコロナ政策で上海が封鎖される直前の2022年第1四半期に1072億ドルのプラスを記録した後、減少傾向が続いています。
状況は証券市場も似ています。英フィナンシャルタイムズによりますと、今年6月初め以降、中国証券市場から120億ドル以上の外国資金が引き潮のように流出したということです。昨年第3四半期の3カ月間に109億ドルが離脱したのに続き、再び大脱走が始まったのです。資金流出が続くと、中国の証券取引所は8月18日から本土外資金の動向に関する毎日の統計発表を中断しました。
■中国経済悲観論が主因
昨年下半期の外資撤退は、昨年7月1日に施行された反スパイ法の影響が大きかったと言えます。中国当局が米系コンサルティング会社を家宅捜索し、役員に出国禁止措置を取るなど、厳しい圧力を加えると、外国企業は次々と中国からの撤退を選びました。
これに対し、今年は中国経済の将来に対する悲観論が主因として作用しました。中国の第2四半期の成長率は4.7%で、市場予想(5.1%)をはるかに下回り、6月の消費の伸びは2.0%にとどまりました。中国経済が不動産バブルの崩壊に足を引っ張られ、低迷の沼からなかなか抜け出せずにいる状況です。
外国資本の撤退は、中国経済にとって大きな打撃です。今回の撤退でIBMは1600人、ディンタイフォンは800人余りの職員を整理解雇するそうです。ここ数年間続いた外国企業の撤退で北京、上海などでは高収入の雇用が続々となくなっています。
■鄧小平を大々的に強調する理由
焦った李強首相は8月中旬に製造業規制緩和、さまざまな投資制限の撤廃など外資誘致策を打ち出しました。しかし、一連の措置が外資離脱の流れを逆転させると考える人は多くありません。
中国政府が8月22日に鄧小平生誕120周年を大々的に盛り上げたのも、そうした雰囲気と無関係ではありません。2年前に鄧小平南巡講話30周年が静かに過ぎ去ったのとは対照的です。習近平主席が鄧小平の改革開放路線を忠実に継承するというメッセージを国内外に発したと言えます。
習主席は2012年に党総書記に選出された直後にも、真っ先に深圳を訪ね、鄧小平の銅像に献花し、改革派とされる胡耀邦元総書記の息子、胡徳平氏に会いました。しかし、その後は共同富裕のスローガンを掲げ、鄧小平とは正反対の道を歩みました。右にウィンカーを出して左折したようなものです。今回はそんなトリックはうまく通用しないようです。
崔有植(チェ・ユシク)記者