アルゼンチン、エクアドル、ブラジル、ブルガリア、エジプト、インド、ヨルダン、モンテネグロ、ロシアそして韓国――。これらの国々の共通点は何か。
【写真】米国人男性 2人の子どもを取り戻すために1年間「ランニングマシン・デモ」
これはハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に関連し、米国務省が今年4月に発表した「2024年国際児童奪取年次報告」に盛り込まれた未履行国家リストだ。韓国を含む16カ国が「未履行国家」という不名誉を被った。
ハーグ条約は両親のいずれかが同意なく他国に子供を元の居住国から連れ去った場合、速やかに子どもを元の居住国へと返還するよう定めたものだ。韓国は2022年から3年連続で未履行国家(児童奪取国)リストに含まれた。韓国の未履行行為を巡っては、9月10日に米下院聴聞会の俎上(そじょう)に載せられた。
クリス・スミス議員(共和党)は席上、「友(米国)は友(韓国)が人権を乱用するのを放ってはおかない。あの子たちは米国の子どもたちだ」と声を荒げた。さらに、「これらの国に経済制裁を加えれば、直ちに効果を上がるだろう」とも言及した。スミス議員は昨年の下院聴聞会でも「我々の友人という韓国が未履行国家にに含まれている。韓国が北朝鮮のようにならないことを願う」と発言している。
スーザン·ワイルド議員(民主党)も「政府全体によーるアプローチと接近と国際基準に従わない国家に対しては責任を問わなければならない義務がある」と強調した。下院外交委員会に所属うするビル・キーティング議員(民主党)は「韓国の駐米大使に数年間の不履行問題について書簡を送った。米政府はできる限りのことをして、子どもたちを安全に本国に返還させなければならない」と訴えた。
聴聞会で最も指摘されたのは韓国の「法執行」問題だった。韓国では子どもの返還訴訟で判決が大法院で確定しても「子どもたちが望まない」場合、執行が失敗することが多いためだ。
これに対し、米国務省のロバート・ケプケ韓国担当副次官補は「韓国の執行官は独立的で独自の判断を下す存在であり、米国のようには裁判所の命令を聞かない」と指摘した。
韓国の児童奪取問題は「ランニングマシンデモ」で知られた米国人の父親ジョン・シッチ氏によって本格的に知られるようになった。シッチ氏は韓国人妻に奪われた息子と娘の返還を求め、ランニングマシーンデモを続けてきたが、4年6カ月が経過した今年4月に子どもたちを取り戻し、米国に戻ったことが確認された。
米国在住の歯科医師ソン・ジェヒョクさんももう一人の被害者だ。ソンさんは妻が子どもを連れて韓国に帰ってから5年が過ぎたが、依然として息子に会えずにいる。米連邦捜査局(FBI)が息子を行方不明者とて手配までしたが、韓国側の法執行の弱点で問題は今も解決されていない。それも、韓国大法院の「子供たちの意思に反して児童返還を執行することはできない」という例規があったためだ。
今年4月に問題の例規が削除されたが、依然として執行が適切に行われていないとの指摘がある。ソンさんはTV朝鮮の電話取材に対し、「4月以降、執行を2回行ったが、自宅は既に子供を匿った後だった。学校にも執行の事実をあらかじめ知っていたのか子どもがいなかった」ともどかしさを吐露した。
ソンさんは「執行のためには子どもの所在地の把握が欠かせないが、法務部からは実際の居住地を把握できないという回答しかなかった」と話した。その上で「先進国の一員である韓国が裁判所の命令があっても5~6年も子どもを本国に帰せない点について、米政府は納得しにくいようだ」と付け加えた。
イ・テヒョン記者