米国のオバマ元大統領の韓国への愛情は際立っていた。オバマ氏は機会があれば韓国の教育熱やITインフラを称賛した。「韓国はあれほど進んでいるのに、なぜ米国はできないのか」と発言したこともある。全米の小学生クイズショーでは「漢江があるアジアの首都はどこか」という問題も出した。ワシントンを除いて最も多く訪問した首都はソウルだという。ホワイトハウスにも韓国系のスタッフが数多くいた。潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長を支持し、世界銀行総裁にはキム・ヨン氏を指名した。
トランプ前大統領在任中では韓国系の女性が隠れた実力者だった。マーシャ・リー・ケリー管理行政局長はホワイトハウスの職員を指揮する運営責任者だった。トランプ前大統領と妻のメラニア氏から信頼されたケリー氏は共和党大会の運営責任者も務めた。トランプ前大統領退陣後はメラニア氏の首席顧問として別荘マール・ア・ラーゴの管理も任された。ほぼ家族とも言える存在だった。
米民主党の党大会で大統領候補に指名されたハリス副大統領のおいたちは実は韓国系だった。ハリス氏の夫の弟の嫁は韓国系のジュディ・リー博士だ。米国移民が始まって121年で韓国系】が初めて米大統領候補の家族となったのだ。ハリス氏は昨年4月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領訪米時の夕食会で「米国には200万人の韓国系米国人が住んでいるが、私の家族もそうだ」と説明した。おいのジェスファー・エムホフとアデン・エムホフは党大会の応援演説で「叔母ほど忙しい人はいないが、一緒に料理を作り、食事し、冗談も言い合っている」と述べた。ハリス氏はジュディ・リー博士やおいたちと非常に仲が良く、周囲にも彼らへの信頼と愛情を良く口にするという。ハリス氏は韓国食や韓国文化にも関心を持っているが、それも家族の影響が大きいようだ。
ジュディ・リー博士は自然治療分野の専門家として知られる。夫のアンドリュー・エムホフ氏はカリフォルニアで教師とした働いた後、消防エンジニアとして20年間勤務した。ジェスファーはカリフォルニア大学バークリー校卒業後、スタートアップ(ベンチャー企業)で勤務しており、アデンは南カリフォルニア大学で社会学を専攻している。一時は高麗大学に夏学期の研修にやって来たこともある。米国の典型的中産階層であり、模範的な家庭を築いているのだ。
ハリス氏の夫のダグラス・エムホフ弁護士は尹大統領就任式に使節団長として来韓した。韓国滞在中に鍾路区の広場市場でピンデトック(緑豆のお好み焼き)など韓国の伝統食を食べ「韓国食と手工芸品は私を失望させなかった」と語るなど、非常に楽しんだようだ。今年の秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月17日)にはホワイトハウスで初めて韓国の秋夕を祝うイベントが開かれる。もしハリス氏が当選すれば、韓国系が初めて「ファーストファミリー(大統領の家族)」の一員になる。米国における韓国系の立場や自負心もそれだけ高まってくるだろう。
裵成奎(ペ・ソンギュ)記者