実は紙ストローの方がプラスチックより環境負荷が高かった【独自】 韓国環境部報告書

 まず、地球温暖化の尺度である二酸化炭素排出量は、使い終わったストローを埋め立てても、焼却しても、どちらの場合も紙ストローの方が多かった。米国の一日のストロー消費量とされる5億本を埋め立てた場合を基準にすると、紙ストローは258万キログラムの炭素を排出し、プラスチック・ストローの炭素排出量(56万6000キログラム)の4.6倍に達した。 埋め立てではなく焼却した場合も、紙ストローの炭素排出量はプラスチック・ストローの1.9倍だった。この他、水や土壌を酸性に変える酸性化は紙ストローが2倍、川・湖など淡水生態系に及ぼす毒性は7倍、人間に及ぼす毒性は4.4倍多いことが分かった。富栄養化(川・海・湖などで栄養物質が増加して藻類が急速に増殖する現象)物質は紙ストローを埋め立てた場合の方がプラスチック・ストローを埋め立てた場合より4万4000倍以上多く排出された。プラスチック・ストローが紙ストローより環境面で役立つ項目はオゾン枯渇、土壌毒性、資源枯渇くらいだった。

 このような研究結果は、2021年に環境部がストロー規制を推進した時とは正反対だ。環境部は当時、2019年に実施した研究用役に基づいて「プラスチック・ストローより紙ストローの(否定的な)環境影響の方が平均72.9%低い」と発表した。しかし、当時の研究用役では使用したストローの廃棄段階は除き、「原料の取得および製品生産時」までの環境影響だけを比較していた。その後、環境部は1年間の啓発期間を経た上で、「紙ストローに対する消費者満足度が低かった」という理由でストロー規制を無期限猶予した。

 紙ストローが思ったほど環境にやさしいものではない理由は、100%紙や生分解される製品ではないからだ。一般的に紙ストローを含む紙の使い捨て用品はぬれるのを防止するためにコーティングされているが、埋め立てや焼却の過程でコーティングされた部分から環境や人体に良くない物質が排出される。紙ストローは水に溶けたり、地面に埋められたりしてもマイクロプラスチックが排出され、海洋生物などに影響を及ぼしかねないという意味だ。また、紙を加工する過程でも炭素と有害物質が排出され、これにプラスチック・コーティングをするため、二重に炭素が排出されることになる。

 結局、紙のストローもゴミであるため、ストローの使用自体を減らしていかなければならないという主張もある。研究チームは「一部の項目で紙ストローより環境的影響が少ないからといって、プラスチック・ストローの使用を正当化することはできない」と話す。その上で、ストローを使わずにふたに口をつけて飲む方法を代案として提示した。

キム・ユンジュ記者

【グラフィック】プラスチック・紙ストローの環境に対する影響の比較

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