文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の元娘婿の「タイ・イースター・ジェット特別採用」疑惑を捜査している韓国検察は8月30日、文・前大統領の娘ムン・ダヘ氏の自宅とオフィス、別荘などを家宅捜索し、確保した資料の分析を進めている。韓国検察は、秋夕(中秋節。今年は9月17日)の連休後にダヘ氏を出頭させて事情聴取を行う計画だ。法曹界からは、検察の捜索令状には文・前大統領を賄物授受容疑の被疑者として適示してあることから、文・前大統領夫妻に対する事情聴取も行われるだろうとの見方が出ている。
進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は2日、「稚拙な政治報復」だとして、対策機構をつくって党レベルで話し合うこととした。これは、民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の指示によるものと伝えられている。李代表と民主党関係者は、今月8日には盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の墓参りをして梁山を訪れ、文・前大統領と対面する予定だ。しかし韓国政界の内外からは「文・前大統領の“痛い指(大切な人)”であるダヘ氏が水面に浮上してきた」「捜査が深く行われれば、波紋がどこまで広がるか分からない」という声が上がった。
ダヘ氏は文・前大統領の在任期間中、公の活動を控えてきた。ダヘ氏が大衆の前に姿を現したのは、第19代韓国大統領選挙の終盤、自分の息子と共に文・前大統領の遊説現場に行って一緒に写真を撮ったくらいだ。兄のムン・ジュンヨン氏が文・前大統領の在任期間中も公に活動していたのとは対照的だ。だが水面下では、ダヘ氏の家庭事情や非公式の活動を巡ってさまざまな話が出ており、時折メディアに「疑惑」という形で露出してもいた。
ダヘ氏は、兄と違って学歴が公開されていなかった。産経新聞は2019年に「ムン・ダヘ氏は国士舘大学に留学した」と報じ、ダヘ氏が釜山外国語高校日本語学科に入ったが中退したといううわさも出回った。当時、韓国大統領府は肯定も否定もしなかったが、この対応を巡っては当時の文在寅政権の「反日」の気流と関連がある、という解釈が出ていた。
ダヘ氏は2000年代中盤に旅行会社のロッテJTBに入社して勤務し、10年に元夫と出会って結婚したという。元夫は16年2月から18年3月まで、ゲーム会社「トリ・ゲームズ」に勤めた。そして18年7月から20年初めまで、現在問題になっている「タイ・イースター・ジェット」の幹部を務めていた。