【NEWSIS】韓国政府がソウル市を含め韓国全土を対象に、旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の全数調査を実施することが分かった。
【写真】日本ブランド「DESCENTE」のダウンコートを着せられた少女像
ソウル市などが2日に明らかにしたところによると、韓国女性家族部(省に相当)の権益政策課は先月26日、ソウル市に文書を送り、「日本軍の『慰安婦』被害者らの名誉回復と、人権・平和の重要性を記憶してこれを周知するために設置された『平和の少女像』の現況を調査するため、各自治区の担当者は添付の資料に修正事項がある場合8月30日までに電子メールで提出してほしい」と通知した。
女性家族部は文書と共に「国内の平和の少女像現況」と題する書式を添付した。政府が平和の少女像の現状を把握しているということが確認されたわけだ。
政府レベルで少女像の個数と設置場所を調査するのは今回が初めてだ。
「平和の少女像」とは、日帝強占期の戦争での痛みを抱える慰安婦の女性を癒やし、植民地支配から独立した歴史の教訓とするために設置された公共の美術作品だ。
少女像が初めて建てられたのは2011年12月。ソウル市鍾路区にある日本大使館前に銅像が設置されたのが始まりだ。おかっぱ頭にチマチョゴリ(韓国の伝統衣装)姿のこの銅像は、日本大使館前で1992年から続いている慰安婦被害者のための「水曜集会」1000回を記念して設置された。
2015年に当時の朴槿恵(パク・クンヘ)政権が日本政府と慰安婦問題で合意した際、これに反発する意味で、日本大使館前の銅像と同じ形の平和の少女像が韓国各地に設置されるようになった。ソウルでは当時、市内の区のほとんどで最大野党「共に民主党」所属の人物が区長を務めており、そうした区長たちの支援の下、少女像が相次いで設置された。
このような由来を持つ平和の少女像について、政府が全数調査に乗り出すのは異例だとの評価が出ている。公共の施設や公共の美術作品全体ではなく、平和の少女像に限定して現状調査を実施するのは過去に例がない。女性家族部も、少女像の現状集計は初めてだと明らかにした。
少女像の全数調査の趣旨に関する質問に対し、女性家族部は「国会法案発議に伴う後続措置」と答弁した。
今月に入り、国会には「日本軍慰安婦被害者を侮辱する目的で平和の少女像を損傷、除去あるいは汚辱した者」を懲役刑や罰金刑で処罰するという内容の「日帝下日本軍慰安婦被害者に対する保護・支援および記念事業等に関する法律」改正案が、民主党議員らの主導で相次いで発議された。
法案が発議されたのは、少女像を毀損する行為が発生したからだ。
今年4月6日には30代の男が釜山市東区にある日本領事館前の平和の少女像に黒いビニール袋をかぶせ、「撤去」と書かれた白いマスクを付けた。男は同月27日にも、日本のビールとすしを少女像に食べさせてビールの缶を少女像の頭上に置く様子を撮影した。その後、こうした行為を処罰すべきとの声が高まった。
関連法案が発議されたことに伴い、慰安婦の担当部局である女性家族部は、今後国会で行われる改正案の審議過程で意見を述べるための基礎資料を準備中だ。これまで慰安婦問題の解決に向けて活動してきた市民団体「正義記憶連帯(旧韓国挺身隊問題対策協議会)に質問したり、メディアで報じられた内容を参考にしたりして少女像の現状を把握してきたが、本格的に少女像に関する立法が推進されるため、公式の集計を行う必要が出てきたと女性家族部は説明した。
パク・テロ記者、コ・ホンジュ記者