さらに大きな問題は、事実の究明が難しいあいまいなフェイクニュースだ。韓国政府関係者は「北朝鮮と戦争が起きれば、日本にある国連軍司令部後方基地の役割が重要だが、『日本政府が韓国を助けるのに非協力的』というような虚偽情報が出てくる可能性がある」とした上で、「そうしたニュースははっきりと事実究明が難しく、事実ではないと表明しても韓国国内にはそれを信じる同調勢力が発生するだろう」と懸念した。逆に中国やロシアが北朝鮮に軍師を送るというフェイクニュースを広めることも考えられるが、それも事実究明が困難だ。
専門家はさまざまな北朝鮮発のフェイクニュースに対応するため、韓国政府だけでなく、地方自治体の有機的な体系構築が必要だと呼びかけた。梨花女子大のパク・ウォンゴン教授は「フェイクニュースが横行すれば、政府が『災害メール』などを通じ、直ちに人々にそれを訂正して周知するシステムをつくることも可能だ。そのためには地方自治体との有機的協力も非常に重要だ」と話した。
韓国の歴史で戦時中にフェイクニュースが事実のように受け入れられたことはしばしばあった。李承晩(イ・スンマン)元大統領が6·25戦争(朝鮮戦争)当時、ラジオ放送で「ソウルは安全だから仕事に従事してほしい」と促し、一人でソウルを脱出した後、漢江橋を爆破したという話が代表的だ。だが、その真相を調査した研究者は「根拠がない」と指摘する。李元大統領がそんな放送をしたこともなく、漢江橋爆破も全面的に軍事的判断によって軍指揮部が行った決定とされるが、70年が過ぎた今でもデマを事実として受け入れる人が多い。戦時のフェイクニュースの威力がどれほどかを示す例だ。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者