「文在寅一家の不正」かばう前に「朴槿恵経済共同体」の判決文をまず読め【9月2日付社説】

 検察が文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の元娘婿に対する「タイ・イースター・ジェット航空特別採用疑惑」捜査を加速化させている。文前大統領の娘ダヘ氏一家のタイ移住を助けた韓国の格安航空会社(LCC)「イースター航空」創業者・李相稷(イ・サンジク)元議員=元・共に民主党=が2018年初め、中小ベンチャー企業振興公団理事長候補になった際、文在寅政権時の青瓦台(大統領府)が人事検証実務陣から「不適格」との報告を受けながらも理事長任命を強行した手がかりをつかんだという。2018年7月、元娘婿は李相稷氏が実質的なオーナーだったタイ・イースター・ジェット航空の専務として採用された。航空業界の経歴が全くなかったにもかかわらず、給与毎月800万ウォン(現在のレートで約90万円)とタイの家の賃貸料約350万ウォンなどを受け取っていた。さらに、中小ベンチャー企業振興公団の職員たちが直接家を探し、移住を手助けした。

【写真】17年大統領選挙の遊説演説で一緒に写真を撮る文在寅氏と娘のダヘ氏

 検察はダヘ氏の家宅捜索令状に文前大統領のことを「賄賂授受の被疑者」だと明記した。李相稷氏が中小ベンチャー企業振興公団理事長に任命された後、元娘婿が受け取った給与や家賃など約2億2300万ウォンを「賄賂」だと言ったのだ。文前大統領夫妻は娘夫婦の生活費の一部を負担してきたが、元娘婿の就職でこのような問題が解決したため、タイ・イースター・ジェット航空採用そのものが文前大統領にとって直接の利益になるという意味だ。つまり、中小ベンチャー企業振興公団理事長のポストの見返りに、文前大統領の家族が金銭的利益を受けたということだ。

 文政権の関係者37人は1日、記者会見で「政治的報復だ」と言った。元秘書室長は「誰が見ても行き過ぎだ」と、元民情首席秘書官は「ターゲットを定めた捜査だ」と評した。共に民主党の報道担当者も「局面を切り替えるためのものだ」と述べた。「文前大統領夫妻と成人している娘夫婦はそれぞれ独立して生計を立てているため、婿の就職を文前大統領の賄賂に結びつけるのは無理であり、報復だ」という意味だ。

 このような主張を見ていると、朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領のことを思い出さずにはいられない。朴元大統領は直接受け取った金銭が一銭もないのに、崔順実(チェ・スンシル、現在は改名してチェ・ソウォン)受刑者と「経済共同体」とされて刑務所に行った。崔受刑者が娘の乗馬競技を支援するとの名目でサムスンから受け取った金が朴元大統領に対する賄賂だというものだった。一般的に「経済共同体」と言えば夫婦のような家族のことを指す。朴元大統領は崔受刑者とは家族でないにもかかわらず、崔受刑者が娘のために受け取った金銭のために、収賄で有罪となった。「経済共同体」と言うなら、文前大統領と娘との関係のほうが朴元大統領と崔受刑者の関係よりもっと近いだろう。

 文在寅政権は執権後、前政権を徹底的に捜査して、2人の元大統領を逮捕した。共に民主党の人々は文前大統領に関する捜査について、「政治的報復だ」と責める前に、2人の元大統領の判決文を読んでみるべきだろう。

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