マクマスター元補佐官は、文大統領が大統領選候補時代に「在韓米のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を再検討したい」という公約を掲げたことを巡り、トランプ大統領は激怒した、とも伝えた。マクマスター元補佐官は「当時、10億ドル(現在のレートで約1400億円)に達する迎撃ミサイルシステムの配備を考え直したい、という文候補の発言を聞いたトランプは、私に『(THAAD配備の費用を)韓国が自ら出すようにすべきだ』と言った」「これに対し、THAADは米国軍と韓国に暮らす米国人を保護するためという次元からのものだと言って収拾しようとしたが、駄目だった」とつづった。
THAAD問題に対するトランプ大統領の「激怒」は、文大統領が就任した後も続いたという。2017年6月の最初の首脳会談当時、文大統領がTHAAD配備に関連して「正式な配備をしようと思ったら、環境影響評価を経なければならない」と言うと、トランプ大統領はせき払いをした後「環境影響評価は時間の無駄」と声を張り上げたという。マクマスター補佐官は夕食会当日の午前、鄭義溶室長に「文大統領に『THAAD配備は環境影響評価の結果に懸かっている』という最近の彼の発言を繰り返さないように言ってほしい」と頼み「不動産業者出身のトランプは環境影響評価を本当に嫌っている」とも警告した。
一方、マクマスター補佐官は、任命されるとすぐさま自身の外交・安全保障チームとの議論を経て「北朝鮮の政権が抑止力だけのために核兵器を望んでいるという考えは誤っている」との結論を下し、これをトランプ大統領に報告した、と明かした。マクマスター氏は「韓半島を(赤化)統一することが金正恩の(最終)目標だと報告した」「(これを聞いたトランプ大統領は)北朝鮮を徹底して孤立させ、中国の習近平国家主席に北朝鮮を支援する代価を支払わせろ、と指示した」と記した。トランプ政権初期の北朝鮮に対する「最大圧迫戦略(Maximum pressure campaign)」の輪郭はこのようにして出現したという。
その後も、トランプ大統領は随時、北朝鮮に対する「圧迫」を強調したが、同時に数回にわたって「金正恩と喜んで会うことができる」とも語っていた、とマクマスター元補佐官は伝えた。マクマスター元補佐官によると、トランプ政権の初期に「大統領に『北朝鮮との対話を急いではならず、対北制裁を不用意に解除するのも駄目だ』と報告し、トランプ大統領も同意した」が、その一方で「一貫性は彼(トランプ大統領)の強みではなかった」という。北朝鮮への圧迫を強調していても、金正恩との「トップダウン」式対面会談の必要性を持ち出し、しばしば立場が変わった、という意味だ。実際、トランプ大統領は金正恩国務委員長と3回対面し、最近の大統領選の局面でも金正恩との仲にしばしば言及している。
ワシントン=イ・ミンソク特派員