法案に事件の加害者・被害者など特定人物の名前に因んで「◯◯◯法」といった別名を付けることは政界でありふれた慣例だ。それでもキム容疑者のファンは「法案が成立したら落選運動を行う」とし、国会の立法予告掲示板に1万件を超える反対意見を書き込んだ。「反省している若者の人生を台無しにする」「なぜ人を一生罪人扱いするのか」といった意見もあった。18日夜までに寄せられた反対意見は朴成訓議員(約6200件)、徐瑛教(約4500件)、申栄大議員(約1300件)に上った。
専門家らは過激なファン文化が電話や携帯メールで三権分立の一翼を担う立法機能までまひさせる状況に至っていると指摘した。過去には与野党の主流政治家の支持者が反主流議員を排除するためにそうした行為に出たが、それが社会全体に拡大した格好だ。
仁川大のイ・ジュンハン教授(政治学)は「味方なら違法、不道徳であってもまずは擁護しようという誤った群衆心理が政界に端を発し、社会全体に広がっている」とした上で、「不正政治家が『自分は無罪』『魔女狩りだ』『政治弾圧だ』と決まって主張する姿を歌手のファンクラブが見習ったものだ」と指摘した。
明知大の申律(シン・ユル)教授(政治学)は「ファン勢力が国会の立法過程に関与することは社会正義に否定的影響を及ぼしかねない」と話した。竜仁大政治学科の崔彰烈(チェ・チャンリョル)教授は「法案の核心である模倣犯に対する議論は消え、コメントテロによる立法機関への不当な圧迫だけが残った」と述べた。
一方、警察は飲酒運転容疑から逃れるために「キム・ホジュンの真似」をする運転者の存在に頭を悩ませている。ソウルのある警察署の交通課長は「飲酒運転の通報を受けて現場に到着すると、『さっき酒を飲んだ』と言い、飲み終わった酒瓶を振る被疑者が増えた」と話した。飲酒が疑われる車が警察の追跡を避けようとして人身事故を起こしたこともあるほか、飲酒測定を頑なに拒否する幹部公務員も出ている。
ク・アモ記者、キム・ビョングォン記者、キム・ボギョン記者