「北朝鮮は宗教の自由を保障」と主張する牧師が金建希夫人と複数回会っていただなんて【8月22日付社説】

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏にブランドバッグを手渡したチェ・ジェヨン氏はかつてあるネットメディアの代表を務めていたが、このメディアは現在国家保安法違反容疑で警察の捜査を受けており、先日は家宅捜索も行われた。このメディアは先日ホームページを通じ、北朝鮮現地の水害現場を視察した金正恩(キム・ジョンウン)総書記を「崇高な為民献身の精神を天稟(てんぴん)として持たれる総書記様」「感無量で涙が視界を遮る」などとたたえた。また北朝鮮については「本当に見事で偉大な国」「領導者も人民も全てが人間勝利のお手本」と称賛している。これ以外にも「米帝侵略勢力の魁首(かいしゅ、かしらの意)である尹錫悦(ユン・ソンニョル)を終わらせることは最も重要な闘争課題」と訴え、在韓米軍前で行われた抗議行動の写真を掲載した上で「尹錫悦打倒、弾劾」「対北拡声器放送を直ちに中断せよ」などとも主張している。北朝鮮政権も驚くような内容ばかりだ。

 これまで3万5000人以上とされる脱北民の証言を通じて今の北朝鮮がまさに地獄であることは広く伝えられており、今その事実を知らない国民はいないだろう。北朝鮮体制は小学生に団体で公開処刑の様子を見学させ、恐怖心を植え付けているという。チェ・ジェヨン氏のメディアによる荒唐無稽な主張は反論する価値もないが、その中でも特に理解しがたいことは、「牧師」を名乗るチェ・ジェヨン氏が「北朝鮮では宗教の自由が徹底して保障されている」と発言したことだ。

 かつて北朝鮮の地域ではキリスト教が非常に盛んだったが、金氏一家による宗教弾圧は日帝よりもはるかに過酷だった。宗教家を裁判なしに処刑し、今も聖書を持っているだけで処刑される。脱北民が中国で拘束され強制送還される際、どんな拷問を受けても口にしてはならない言葉が「牧師に会った」「聖書を見た」などだ。これを口にすれば即座に命を失うという。故・金日成(キム・イルソン)主席は生前「宗教はアヘン」と言い、1968年には「宗教は完全に滅絶(絶滅)された」と宣言した。神がいるべき場所に「金氏一家」が君臨しているのだ。「自由」など最初から存在もしない北朝鮮では「宗教の自由」も当然存在し得ない。牧師であれば北朝鮮の宗教弾圧に怒るのが普通だが、チェ・ジェヨン氏はうそと詭弁(きべん)で「北朝鮮には宗教の自由がある」などと逆に称賛している。

 チェ・ジェヨン氏がいかなる人物かはネットで検索するだけで分かる。文在寅(ムン・ジェイン)前政権で国家保安法違反容疑で取り調べを受けた事実も公表されている。チェ・ジェヨン氏関連で特に驚くべき事実は、こんな人物が尹大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏と何の制止も受けず複数回会っていたことだ。理由は金建希氏の父親と知り合いだったと主張しただけだ。大統領夫人はこんな人物を大統領就任式後の夕食会に招待し、大企業トップはもちろん大統領とも記念写真を撮影させた。文字通り開いた口がふさがらない。

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  • ▲チェ・ジェヨン牧師。6月17日撮影。/news1

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