今年の中国の梅雨(メイユー)期間中に大雨が降った長江では、昨年に比べ最大で50%以上も放流量が増え、済州島近海の海洋生態系に悪影響が懸念されている。塩分が希釈された海水が済州島側に流れてきて魚が逃げ出すだけでなく、マイクロプラスチックも大量に流入する可能性があるためだ。
韓国国立気象科学院が21日に発表したところによると、今年7月1日から8月14日までの長江流域の降水量は543.1ミリメートルを記録し、平年(481.6ミリメートル)より12.8%増加したという。長江が氾濫する危機に直面すると、中国は先月からダムにためた水を1秒当たり7万トン以上放流した。これは平年(1秒当たり4万-5万トン)の放流量より多い。 海に入った河川水は海水を薄めることになるが、このような「低塩分水」が済州島に到達している。
中国から低塩分水の流入が増えるとの予想を受けて、韓国気象庁はこのほど、気象観測船を出して済州島近海の塩分濃度を調査した。その結果、海面から水深15メートル付近までは適正値より塩分が大幅に低く、成分を分析してみると長江の水が原因であることが分かった。
このような低塩分水が増えれば、塩分濃度が回復するまで済州島近海で魚が減る可能性がある。魚は本能的に塩分が合う場所を探して移動するためで、漁獲量に大きな打撃を与えかねない。韓国国立気象科学院はこうした内容を済州特別自治道側に伝えた。同道では9日、「低塩分水流入対応第1段階」を発令し、養殖場などを対象に点検に着手した。現在、例年より水温も約3℃高く、高水温と低塩分水が重なって済州島の水産業界では「被害が大きくなる恐れがある」と懸念の声が上がっている。
長江の放流量が増えれば、韓国側に流入するするマイクロプラスチックの量も増えることになる。米ミシガン大学と米航空宇宙局(NASA)は2021年、人工衛星を通じ、中国の長江と銭塘江の河口から韓国の西海(黄海)に向かって噴出するマイクロプラスチックの流れを捉えたと発表した。マイクロプラスチックが大量に混ざった中国からの河川水は、韓国の海を通って日本まで流れ込むことが分かった。
パク・サンヒョン記者