金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人の「有名ブランドバッグ事件」を捜査したソウル中央地検捜査チームが、「嫌疑なし」の結論を下したという。イ・ウォンソク検察総長(検事総長に相当)の最終処分が残っているが、結論が覆る可能性は低い。今年5月にイ総長が専担捜査チームの立ち上げを指示してから3カ月、金夫人が告発を受けた時点から考えると8カ月が経過している。時間がかかる理由はない事件だが、今ようやく結論が出た。
韓国検察が「嫌疑なし」の結論を下したのは、ブランドバッグ授受に職務関連性や代価性がないと判断したからだ。バッグを渡した人物は、大統領夫人に特定人物の国立墓地埋葬や国政諮問委員任命を頼んだと主張した。だが、いずれも実行されなかった。バッグは、提供者が大統領夫人と会って盗撮しようとする手段に過ぎず、代価ではないというわけだ。純然たる法的な見方では、この判断が正しい可能性がある。
この事件は、バッグの提供者と親野党系のユーチューバーが企画した「わな盗撮」だった。だとしても大統領夫人がバッグを受け取ったことそのものは不適切だっただけに、大統領夫人は事件が明るみに出たとき、すぐに謝罪すべきだった。ところが大統領夫人は謝罪せず、検察まで捜査を終えたことで、不必要な疑惑を拡大させた。特に、朴性載(パク・ソンジェ)法相は検察総長の本格捜査指示の直後、不意に同事件の担当だったソウル中央地検長を交代させた。そうして新たに任命された地検長は、大統領夫人の事情聴取を検察庁舎ではなく第三の場所で行い、これを後から検察総長に報告し、自ら捜査不信を招いた。
大統領夫人の「ドイツ・モータース株価操作疑惑」も同様だ。検察は7月に大統領夫人を出頭させて事情聴取を行った際、株価操作疑惑の取り調べも並行して実施したが、まだ結論を下していない。この疑惑は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の検察が、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)検察総長を捕まえようとして1年半以上も捜査したものの、起訴できなかった事件だ。ところが韓国検察は政権交代後も、どういうわけか金夫人の捜査を引き延ばし、告発されてからほぼ4年を経て出頭させて事情聴取を行った。それでも結論を出せずにいる。一般人相手であれば、こんな形で捜査することはなかっただろう。
その間、民主党は、大統領夫人関連であればなんであろうと捜査でき、特別検察官も野党が任命するという「金建希特検官法」を押し付けている。民主党は、有名ブランドバッグ事件を巡る「嫌疑なし」の結輪についても「特検の必要性を検察自ら立証した」と主張した。相当数の韓国国民がこれに同調している。金夫人がすぐに謝罪・釈明せず、検察が捜査を遅らせ、問題を悪化させた結果がこれだ。