日本が福島原発放射能処理水の海洋放出を開始してから今月24日で1年になる。韓国政界では海洋放出をめぐって昨年夏、「核廃水」「セシウムのクロソイ」といった刺激的なスローガンで反日感情をあおった。当時、韓国最大規模の水産市場であるソウル市内の鷺梁津水産市場をはじめ、全国各地の水産市場で客足が途絶えた。商人たちは閑散とした店の番をしながら「私たちが何をしたと言うんだ」とため息をついていた。
【写真】「デマはやめてください」 ひざまづいて訴える韓国の漁業従事者たち(2023年7月10日撮影)
ところが、本紙記者たちが今月19日午後に訪れた鷺梁津水産市場は「放射能デマ」など完全に忘れ去っているような雰囲気だった。ヒラメやマダイなどが泳いでいる「いけす」を数十人の買い物客たちが見物していた。「いくらですか?」「少しオマケしてよ」などのやり取りもあちこちで交わされていた。シマアジ・イシダイ・マハタ・イサキ・マダイなどが入ったいけすにはどれも「日本」という原産地表記がはっきり書かれていたが、気にする人は誰もいなかった。
市場の中央にある電光掲示板には16日、韓国水産業共同組合が実施した放射能検査で日本産マダイやイサキなどが「ヨウ素」「セシウム」などの項目ですべて「適合」と判定されていると書かれていた。「韓国では水産物の放射能検査をする時、国際標準および先進国に比べて10倍以上厳しい基準である1キログラム当り100ベクレルを適用している」という動画も流されていた。同組合は昨年の海洋放出開始以降、毎日(週末を除く)日本産水産物の放射能検査を行っている。
買い物客たちは「韓国産より日本産の方がおいしい魚種がある」「デマなどに気にしないで、おいしい日本産の魚を買って食べている」と語った。月に1回、鷺梁津水産市場で刺身を買っているというシンさん(60)は「マダイは韓国産より日本産のほうがはるかに食感がいいし、日本産のシマアジは絶品だ」と言った。シンさんは1年前の韓国野党による「放射能魚」などの主張について、「この世界で国民にそのような魚を輸入して食べさせる国や政府なんて、どこにあるだろうか」と言った。韓国政府はこの1年間で日本の水産物を対象に放射能検査を約4万4000回実施したが、基準値に近づいた結果が出たケースは1件もなかった。