バイデン大統領は就任2年目、米国の製造業を立て直すことを目的として、インフレ抑制法(IRA)と半導体産業支援策である半導体・科学法(CHIPS法)を施行した。2つの法律で計4000億ドル以上の税額控除と金融支援、補助金を提供することを決め、世界の大手企業は相次いで投資計画を発表した。
しかし、最近になって一連の計画が相次いで遅れ、バイデン大統領の製造業育成政策に疑問を投げ掛ける声が強まっている。韓国のLGエナジーソリューションはアリゾナ州に23億ドルをかけ、エネルギー貯蔵装置(ESS)用電池工場を建設する予定だったが、着工から2カ月後の今年6月に一時中断した。同社とゼネラルモーターズ(GM)の合弁法人であるアルティウムセルズが26億ドルをかけ、ミシガン州に建設しているEV電池第3工場の建設も一時中断された。業界関係者は「EVと電池の一時的な需要停滞など景気回復のペースが予想より遅いほか、賃金上昇と世界的なサプライチェーン問題で建設費が急増した影響を受けた」と話した。
■生産過剰で中国企業の破産急増
中国は米国に対抗し、世界市場を掌握するため、巨額の投資に踏み切ったが、供給過剰で企業が破産するケースが相次いでいる。中国の習近平国家主席が製造業で最も投資を集中しているEV、太陽電池モジュール、半導体の各分野で巨額の補助金と金融支援が供給過剰を生み、企業を取り巻く状況が悪化していると分析されている。例えば、昨年中国では前年を90%上回る約5万2000社のEV関連企業が廃業した。中国の太陽電池パネルメーカーなども供給過剰で経営難に直面し、工場の稼働率が50~60%台に低迷している。
半導体産業でも供給過剰を憂慮する声が上がっている。中国政府は半導体自給率を2025年までに70%まで高めるという目標を掲げ、第1次分(1387億元)、第2次分(2040億元)、第3次分(3440億元)という投資ファンドを創設したが、それが仇になった。中国の企業情報サイト「企査査」によると、昨年中国国内では約1万1000社の半導体関連企業が事業を中断したことが分かった。1日に約30社が廃業した計算になる。
イ・ヘイン記者